2005.3 "一部"無料公開記事    ▲TOP PAGE

ポータル戦争
――「ヤフー」を超えろ!

「ライブドア」「楽天」戦略一変
根幹に迫る“通信と放送の融合”



  ポータル(玄関)サイトを巡る戦いが、新たな局面を迎えた。球団参入で急速に認知度を拡大している楽天の一方、ライブドアはフジサンケイグループを傘下に収めるべく、動き出した。新規球団参入を争った両社の戦略は、一変した。ネットの普及により、今後のメディア戦略上、重要な鍵を握るポータルサイト。現時点の王者「ヤフー」を目指した“ポータル戦争”は、通信と放送の融合における根幹にもおよび始めた。

まさかのTVメディア参入策 

 もう3回も同じことを言っていますよ――。

ライブドアの堀江貴文社長兼CEO(最高経営責任者)は2月8日の記者会見の席で、「ネットとラジオ・テレビを組み合わせて何ができるのか」との質問をくり返す記者たちに、苛立ちを押さえ切れなかった。 

 通信と放送の融合。
これが近い将来、すべてのメディア、すべての産業に与える影響の大きさは計り知れない。そのことは記者たちも重々承知している。しかし、この日行われた記者会見の内容は、あまりにもインパクトが強く、通信と放送の融合におけるさらなる具体的なビジョンを聞かざるを得なかった。
 

 ライブドアはニッポン放送の株式35%を取得しました――。記者会見では会見趣旨が淡々と述べられた。フジサンケイグループの現時点の中核企業、ニッポン放送。これを手中に収めるということは、同グループの実質的な中核企業となるフジテレビジョンさえ傘下に収める可能性を示唆する。「フジテレビ」が「ライブドア放送」になる事態も、ありえないことではなくなった。 

 2月21日時点では、さらにニッポン放送株を買い増し、ライブドアが握るニッポン放送の持ち株比率は40%台におよんだとも報じられる。一方、フジサンケイグループの“いびつな”資本関係を解消するため、ニッポン放送株の株式交換買い付け(TOB)を実施しているフジテレビは急きょ、当初のTOB目標株式数50%超から、より確実な25%超に変更するという「防衛策」に打って出た。 

 「マナーを知らないベンチャーのテレビ局乗っ取り」「外資系ファンドが裏で手を引いているのでは」――。メディアでは連日、今回の株式買収劇に対してネガティブな報道が続いている。確かに、株式取得の方法について是非論もあり、こうした点にスポットが当りがちだが、ライブドアのポータル戦略としては、「こうせざるを得なかった」という内情も垣間見られる。【つづく】
(島田 昇)

(この後の、球団参入争いの“延長戦”、「楽天」ブランドが急速に認知、財界と協調路線の姿勢貫く、堀江ライブドア社長談「ECの伸びにも拍車をかける」――は月刊「ネット販売」の紙面にて) 

注目の人「堀江貴文ライブドア社長」

注目の人「三木谷浩史楽天社長」

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