2003.3 無料公開記事 ネット販売2003.3

サイドリニューアル通信
何が問題で、どう変えたいのか



ネット販売サイトは、更新やリニューアルが頻繁に行われている。“即時性”はインターネットの大きな特徴の1つだからだ。しかし、それだけではない。大幅なリニューアルの裏には、改善すべきサイトの問題点や対応すべき時代のニーズが隠されている。


事例報告書15
ムラウチ
「murauchi.com」
http://www.murauchi.com
ムラウチ(本社・東京都八王子市、村内伸弘社長)は自社運営するネット販売サイトを2月2日、リニューアルした。名称とURLも「murauchi.co.jp」から「murauchi.com」に変更。内容的にも大幅なリニューアルとなっている。一見、デザイン的なもの以外には大きな変更点はなさそうだが、実際の購入フローの中で問題だった点を改め、使いやすさを追求。今期(2003年3月期)の売上高見込み43億円に対し、来期は100億円の売上高を目指す。



今回のリニューアルで最も大きいのはバックヤード面。リニューアルに際しシステムを刷新。これまでは40〜50億円程度の年商にしか耐えられないシステムだったため、アクセスを十分に処理できない状況だった。今回のシステムは年商50〜100億円レベルのアクセスにも十分耐えられる。
表面的に見てまず目に入るのが、商品のカテゴリー分け。これまでは12の専門店という位置付けでカテゴリー分けしていたが、これを19の専門店に分けた。また、各専門店別に色分けし、利用者が今どの専門店を閲覧しているのかがすぐに分かるようにした。
今回の大きな変更点の一つとなるのは、ユーザーごとの専用ページ「マイページ」の導入。注文状況や購入履歴、ウィッシュリスト(購入を検討している商品のリスト)が確認できるようになった。
中でも目を引くのが、商品の比較機能。これはネット販売における短所の一つ、一覧性の弱さに対応した機能といえる。例えば、目ぼしいパソコンをいくつか保存しておくと、スペックや価格などを含めて一覧することができる。まずは一人でいくつか候補を選び出し、後で家族や友人などと一緒に比較検討することが可能になる。
一覧性への対処はそのほかでも行っており、これまで各ジャンルの商品一覧は、一度に10件(テキストのみなら20件)までが限界だったが、これを50件(テキストのみなら100件)にまで引き上げた。商品数の多いソフト類の購入時などには便利な変更点といえる。
取り扱い終了となった商品のデータベース化もムラウチで購入したことがある利用者にとっては便利な機能だ。取り扱い終了となった商品の消耗品を買いたいと思っている顧客は、同サイトで消耗品の商品名や規格を確認することができる。
リサイクルや処分にかかる金額も明示した。家電リサイクル法の施行により、対象家電製品のリサイクル料が発生したが、これを正確に把握している消費者は少ない。商品そのもの以外に何のためにどのくらいの費用がかかるのかが事前に分かっていれば、購入者の不安も和らぎ、購入に至る可能性は高くなるだろう。

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