2002.10 無料公開記事 ネット販売2002.10
”オモシロ”サイト拝見
 
「BookWorld」
http://www.rakuten.co.jp/bkworld/
 
オークションが変えるネット販売

小売を変える可能性を秘めている――。いわゆるインターネットオークション(競売)を中心にネット販売を展開する三和装備(本社・東京都足立区、村元英人社長)の村元均専務は胸を張る。実際、オークションの月商は3,000万円を突破しており、出店する楽天のオークション部門ではトップ、全体でも24位をマークする。さらに重要なのは販管費の大幅削減を実現していることで、非常に効率的なネット販売手法として名乗りを上げ始めている。

落札額は市場価格と大差ない


サイト名こそ書籍を匂わせる名称だが、扱う商品の幅は広い。主な人気商品は古本などに加えビデオデッキなどの家電製品、「EMS運動器具」や「ターボクリーナー」などテレビ通販向けの商材など。
特にビデオデッキは事務所の入り口を覆い隠してしまうほど仕入れたが、あっという間にその500台をさばききった。オークションが引き出す購買意欲は純粋なネット販売では考えずらい勢いがある。
ただ、心配なのはオークションという形態のため、安値の叩き売り同然の利益になってしまうのではないかということ。しかし、確かに販売価格にばらつきはあるものの、大抵は市場価格程度で落札されるという。仮に割高で販売したものと割安で販売した商品の合計平均金額が、市場の平均価格と同程度になるとすれば、売り方こそ違うもののネット販売と大差のない収益が期待できる。
むしろ、販管費を大幅に削減できるため、ネット販売よりも収益を見込めるといえる。同社ではオークションを中心とした展開で販管費を15%まで圧縮。将来的には販管費を10%まで減少できるモデルへと、さらに既存のネット販売モデルに捕らわれない利益追求型のビジネスモデルを構築していく方針だ。

広がるオークション活用

オークションは他のサイトでも効果的に活用されており、アウトドア関連商品のネット販売で有名なナチュラムも重宝している模様。オークションサイト最大手のヤフーでは、こうしたオークションをネット販売に見立てた活用法の拡大を受け、「即買(そくがい)」と呼ぶ定額商品のオークションを開始した。
三和装備はこうしたオークションでのネット販売展開の好調を受け、これまで展開していた「楽天市場」のオークションに加えヤフーのオークションにも参加。有力オークションサイト「ビッダーズ」や自社サイトでの展開を予定している。
将来的にはそれぞれのサイトで年商1億円程度を販売したい考え。村元専務はオークションが新たにネット販売の主流に加わることを予見

企業データ「三和装備」

三和装備は81年設立。当初は建築部品をメーンに取り扱う企業だったが、建築業界の内部に位置する立場だったこともありバブル崩壊の危機をいち早く察知。今後の会社の方針を憂慮していた際に一変、小売業に興味を持ち始める。
小売業の中でも参入障壁の低いネット販売を開始したのは97年のこと。当初は古本や写真などを純粋にネット販売していた。半年足らずで月商100万円程度を売り上げるまでに成長したが、その後出店した仮想モール「楽天市場」の講習会「楽天大学」を受講。オークションの“可能性”を知ることとなる。
8月時点でアクセス数77万3,992ページビュー、来店者数11万5,698人、メルマガ登録顧客4万7,489人、販売点数3万4,156点。月商は約3,000万円。スタッフは社員4人、アルバイト10人。

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