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モバコレ、25〜35才女性獲得で新サイトを展開


――千趣会とのシナジー追及で軌道修正






DeNAと千趣会の合弁で2006年2月に設立したモバコレ。これまで20代前半の女性をターゲットにした、いわゆる“ギャル系ファッション”のモバイル通販を展開してきたが、昨年11月末の千趣会による完全子会社化を機に、従来の路線を修正し20代後半以降の女性顧客の取り込みに力を入れている。この一環としてベビーファッションのモバイル通販サイト「mini cole(ミニコレ)」などを開設。今秋から、女性ファッションなども含め展開を積極化させ、20代後半以降の女性層開拓を加速させる構えだ。

モバコレ・千趣会間の“空白地帯”を埋める

 昨年11月末に千趣会の子会社となったモバコレ。両者の狙いはシナジー効果の追及に集約されるが、この取り組みを進める上で、「25才から35才までの層を埋めることが重要だった」(モバコレの石井秀和取締役)という。
ギャル系ファッションを中心に展開してきた「モバコレ」の主要顧客層が20代前半の若年層なのに対し、千趣会の主要客層は35代以上の女性。つまり、25〜35才が空白地帯となっていたわけだ。
このためモバコレは、20代後半以降の女性をターゲットにしたファッションの新サイト構築を推進。そのなかで、いち早く着手したのがベビーファッションの「ミニコレ」になる。
この背景には、千趣会の客層との親和性が高いこと、さらにかつての「モバコレ」ユーザーの声がある。

子供ができ外出できない“モバコレ卒業生”

新サイトの構築に当たり、モバコレでは、かつてのVIPユーザーで「モバコレ」から離脱した顧客を対象にアンケートを実施。
「モバコレ」からの離脱理由や、その後の商品購入場所を探ることを狙ったものだが、サイトからの離脱理由で多かったのが、ギャル系ファッションに特化した“モバコレは卒業した”というもの。これは、ある程度予想できた結果だったが、意外だったのは、その後の商品購入場所についての回答。
「モバコレ」の顧客は、通販の利用と同時に店舗にも足を運ぶ傾向が強いが、子供ができて店舗に行かなくなり、「サイトで商品を見ても親近感が湧かなくなった」という声が多く、なかには子供服を扱って欲しいといった要望もあった。つまり、20代後半以降のモバコレ卒業生の間に、ベビーファッションのニーズがあったわけだ。

ベビー雑誌創刊ラッシュも、サービスが不十分

モバコレによると、最近ベビーファッションは、関連雑誌の創刊が相次ぐなど注目されつつある一方、リアル店舗なども含め商品の購入場所が意外に少なく、モバイル通販サイトもほとんどないのが実情。このため同社では、「ベビー関連雑誌の創刊ラッシュに対し、(周辺の)サービスが充実していない」(石井氏)と判断。既存の女性ファッションの通販サイトと違う切り口で20代後半以降の女性にアプローチできることなどもあり、ベビーファッションのモバイル通販サイト「ミニコレ」を開設することにした。
現在、「ミニコレ」で扱っているのは、ベビー服など25ブランド・約1500アイテム。ファッション通販サイトの立ち上げで最も苦労するのはいかにブランドを集めるかだが、市場全体としてベビーファッションの売場自体が少ないこともあり、ブランド側が協力的だったという。
また、サイト作りで留意したのは、使いづらいという印象を持たれないようにすること。ベビーファッションの場合、ブランドごとにサイズ表記が異なり、分かりづらいという課題があったが、サイト上のサイズ表記近くに目安となる身長を入れるほか、身長切りの商品検索もできるようにした。
商品画像についても、モデルが赤ちゃんであるため「撮影が大変」(同)なことから、他の通販サイトを参考に、置き撮りや吊るしの商品画像を使用。商品画像でややリアルさに欠ける点については、特集企画などでフォローする形にしている。
一方、集客の面では、「モバコレ」顧客への「ミニコレ」の告知メール送信や、雑誌への広告出稿などを実施。まだ思ったような集客効果は出ていないようだが、それでも売り上げは、「毎月倍々で増えている」(同)など、軌道に乗りはじめているようだ。

雑誌社との協業など今秋から取り組み積極化

モバコレでは今秋以降、25〜35代女性の取り組みを積極化させる方針。「ミニコレ」では、取扱ブランド数を一気に40ブランドに広げるほか、顧客が投稿した子供のスナップ写真に投票するコンテスト形式のキャンペーンを実施。顧客が楽しめるコンテンツを作り、ママ友同士のコンテスト投票の案内などによるサイトの活性化や認知度アップを図る。
さらに、雑誌社との協業を進め、雑誌社公式の形でベビー関連のモバイル通販サイト開設を計画。バックヤード部分で「ミニコレ」の仕組みを活用する試みで、すでに雑誌社2社と具体的な話に入っているという。
 このほかに、女性ファッションも、現在展開している若年層向けファッション雑誌の通販サイトを、やや上の年齢層向けの雑誌の通販サイトに切り替えることを計画している。




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