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ヒット商品限定のモバイル広告の効果とは?







注目されるモバイルコンテンツ連動型広告だが・・・


急激に市場規模が拡大してきているとは言え、個別の事業者の状況を確認すると、各社なかなか売上規模を拡大できていないモバイル通販。その要因はいくつかある。
まずはパソコン(PC)に比べ、市場が未成熟であり、売り上げもさほどまた大きなものではないために、事業的な優先順位が低く、経営資源をさほど割くことができないからだ。加えてこれに加えて、新規顧客獲得がモバイル単体ではしにくい側面もある。PCであれ、モバイルであれ、通販実施企業にとって新規顧客獲得のためには、「広告」は欠かせない。
ただ、モバイルの場合、PCの「ヤフー」のような圧倒的に人が集まるサイトが存在しない。つまり、ユーザーはブログサイトを含め、無数のサイトに分散している。これらユーザーを呼び込むためには、複数のサイトに細かく広告を出稿させる必要があり、モバイル通販実施企業にとっては、集客のための広告出稿が難しいという側面がある。
そのため、モバイルにおいては、PCのようにポータルサイトや情報サイトへの広告出稿ではなく、メルマガ広告がモバイルにおいては集客の要。ただ、やはり、メルマガ広告だけでは取りこぼすユーザーは確実におり、PCのように多様な媒体に広告を露出させたいところ。
そんな中、注目され始めているのが、「モバイル上でのコンテンツ連動型広告」だ。広告会社がネットワークする個人サイトを含むモバイルサイトの内容を分析して、自動的に媒体サイトの内容に合致した広告主の広告を掲載させる仕組みで、ユーザーの行動が広く、効果的な広告出稿媒体を探し出すのがなかなか難しいモバイルでは、PCのコンテンツ連動型広告以上に有用な仕組みとしてモバイル通販実施企業などの広告主から注目されているわけだ。
ただし、1つネックとなっているのが、個人ブログなどあまりに小さな媒体に、当該サイトに合致した広告をいかに数多く露出させても、見る人が少なければ、クリックの絶対数が少なく、広告主サイトが満足する数の新規ユーザーの送客が図れないというものだ。

「売れ筋」商品を高トラフィックサイトに


こうした状況の中、面白いモバイル広告サービスを開始したところがある。モバイルアフィリエイト仲介事業大手のインタースペースだ。同社は2009年5月11日から一定の集客力を保有するモバイルサイト限定で、通販実施企業など広告主の広告を露出させるコンテンツ連動型広告を配信するサービスを開始した。
無論、こうしたサイトは広告の掲載依頼も多いことが予想され、費用対効果的に広告費が多く出せないモバイル通販実施企業の広告は媒体社の方が毛嫌いするパターンが多い。物販広告を掲載するよりも、デジタルコンテンツ等のモバイルではクリックされやすい広告を掲載した方が、儲かるためだ。
こういう状況を考慮し、インタースペースでは「売れ筋商品」を持つ広告主に特化したコンテンツ連動型広告とした。こうすることで、物販と言えども、ある程度、クリック数を稼ぐことができ、媒体社の利益にもつながるため、一定のトラフィックを持った媒体サイトに通販企業でも広告を露出できる仕組みだ。

まずは「ガールズオークション」で掲載開始


 では、インタースペースが開始したモバイルコンテンツ連動型広告について具体的にその特徴を見てみよう。すでにモバイルコンテンツ連動型広告を展開中のモバセンスと連携し、同社のコンテンツ連動型広告配信システムを活用。それにインタースペースが行なうモバイルアフィリエイト広告「アクセストレードモバイル」の媒体ネットワークを連携させる言わばコンテンツ連動型広告とアフィリエイト広告を融合させた仕組み。
インタースペースはアフィリエイト広告で取引のある媒体者の中から、一定のトラフィックを持つモバイルサイトを厳選。当該サイトのページ内容に合致した広告主の「ヒット商品」のバナー広告やテキスト広告を掲載する。
まずはインタースペースの子会社が運営し、若年女性層から支持の高い国内最大級の女性向けモバイルオークションサイトで現状、月間ページビュー数が5,500万PVとかなりの高トラフィックサイトとなる「ガールズオークション(略称:ガルオク)」のカテゴリーメニューの下に広告主のバナー広告の露出を開始した。

オークローンマーケティングが広告主として参加


一方の広告主はスタート時点では「ビリーズ・ブート・キャンプ」や「コアリズム」など大ヒットエクササイズDVDを販売するオークローンマーケティングや、ダイエット食品「マイクロダイエット」を販売するサニーヘルスなど通販企業の出稿(別画像参照)も目立っている。このほか、モバイルコミックサイト「コミックシーモア」を運営するエヌ・ティ・ティ・ソルマーレのほか、きせかえ、デコメ素材、ケータイ小説などのコンテンツ事業者も参加しているようだ。
インタースペースによれば、今後は自社媒体である「ガルオク」だけでなく、モバイルアフィリエイト事業で取引のある媒体社にも、コンテンツ連動型広告掲載を打診し、徐々に広告の露出場所を広げていく考えのようだ。また、広告主に関しても、一定の基準は設けるものの、ある程度のヒット商品を持つモバイル通販実施企業へ出稿を提案し、広告主の獲得を図っていく。

気になる広告料金は10〜30円とまずは安価に


気になる広告料金だが、「スタート直後ということもあり、割と安価に設定した」という同社。料金体系はクリック課金で1クリック、10〜30円のようだ。今後、規模が拡大していった段階では料金改正なども視野に入れているようだが、まずは安価な価格設定で、広く広告主の獲得を図っていく考えのようだ。
もちろん、いかにクリック単価が安いとは言え、費用対効果に見合わなければ、出稿する意味はない。ただ、新規顧客獲得策が現状、限られるモバイル通販。その分、何か奏功するかまだ未知数なことも多く、分からない。新規顧客開拓が思うように進まないモバイル通販実施企業にとっては、検討してみる価値があるのではないだろうか。【編集部・鹿野利幸】




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