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TBS、ワンセグ独自で通販番組を開始

――ドラマ型インフォマで訴求




東京放送(TBS)がワンセグ独自の通販番組の放送を始めた。ワンセグは通常、地上波と同じ内容の番組を放送する「サイマル放送」だが、今回は地上波では放送しない「非サイマル」のワンセグ独自番組として放送。通常の通販番組とは異なり、ドラマ仕立ての映像の中に通販する商品を登場させる内容で、美容関連器具や飲料などを紹介した。初回の放送は09年2月27日の深夜に放送。09年3月末まで毎週金曜に放送する予定。 放送時間帯がかなり深いだけに、いきなり大きな売り上げは期待できなそうだが、そもそもワンセグ独自番組自体がまだ数えるほどしか放送されていない。しかも、大半はスポーツ中継などで、地上波では放送できない「延長」をワンセグで放送するケースが多い。ワンセグ独自の通販番組自体、かなり珍しく、今後のワンセグによる通販活用の可能性を探る意味では、結果が気になるところ。 これは他の事業者も同様のようで、TBSの今回の試みにはDeNAやザッパラスといったモバイル関連事業者も集客面等で協力しており、「効果や活用方法がいまだ見えない『ワンセグ』を検証する意味で、興味深い」(DeNA)と期待を寄せている。TBSでも今回の取り組みについて、「ワンセグのビジネスモデルを探るトライアル」と位置付けており、今後も通販を含むワンセグ独自の番組の放送を検討していくようだ。


ドラマ仕立ての通販番組


 09年2月27日から放送を開始したワンセグ独自の通販番組は「ナイト★マーケット」。TBSが行なう通販番組は基本的に通販子会社のグランマルシェが通常、番組等を製作するが、今回の場合は、TBS本体のライセンス事業部の管轄となり、番組制作などを行ったようだ。番組の放送時間はCMなしの約1時間で、番組冒頭には通販とは関係ないバラエティ番組が流れ、その後はショートドラマ仕立てのインフォマーシャル数本が放送される構成。なお、「ナイト★マーケット」が放送されている同時間の地上波はグランマルシェの通販番組「買物大図鑑」が放送されている。
「ナイト★マーケット」ではタレントの井上和香さんや中島愛里さん、八神蓮さんなどを起用。出演するショートドラマ内で、飲料やアクセサリー、美容器具などを登場させ、通常の電話受注のほか、ワンセグのデータ放送などで視聴者を物販サイトに誘導、当該商品の購入を促す仕組みだ。

「モバゲー」が集客面で協力


「ナイト★マーケット」への集客面では連携するDeNAやザッパラスが協力。ちなみにDeNAでは運営するモバイル総合情報サイト「モバゲータウン」内に当該番組の特設ページを用意して番組を告知。また、「モバゲー」内にある有名人の日記サイトでは「ナイト★マーケット」に出演するタレントの井上和香さんが日記で告知。ここから、「ナイト★マーケット」の関連ページなどに飛ぶ仕掛けでユーザーの番組視聴や商品購入を促す仕掛けとしている。
DeNAではTBSへの協力について「当社にもメリットは高い。詳しくは言えないが『モバゲー』のPV向上にもつながる可能性や、当社としても興味のある『ワンセグ』の効果を試すテストケースにもなる」(同社)として期待を寄せているようだ。

これまでよりは反応良い


 2月27日の第1回目の放送(午前2時55分〜4時)ではショートドラマとして「ドラマ(スノボ編)」や「キミダケヲミテル」「李さんと良子」「破如破如(ハニョハニョ)人」などを放送。それぞれのドラマ内で「ジョージアマックスコーヒー/250_g×30本」(税込3600円)、「高島屋厳選 和珠8〜8.5_珠 本真珠ネックレスセット」(同3万9800円)、「プラチナゲルマローラー」(同1万4800円)、「EMSゴールデングローブ」(同1万4800円)を登場させ、視聴者の商品購入を促した。
初回放送後の感触についてTBSでは「詳細な検証はこれからで、具体的な数字などは言えないが、ワンセグでしか見られない『非サイマル番組』であるため、これまでのワンセグ番組よりも良い反応だった」(TBS・ライセンス事業部)としている。

反響次第で今後も放送


TBSはこれまでもグランマルシェなどと共同でワンセグを活用した通販展開などは実施してきたが、地上波と同じ内容の通販番組をワンセグでも放送し、データ放送で通販を促すものだった。今回の新番組はワンセグ独自の通販番組で「たまたま通販だったが、ワンセグのビジネスモデルを探るトライアルの一環。無論、反響次第では今後も同様のワンセグ独自の通販番組を放送していく」(同)としている。
「ナイト★マーケット」は初回放送以降、毎週金曜日、3月20日まで全4回を放送後、一旦、終了。効果検証などを行う予定。モバイル通販の起爆剤として期待され続ける「ワンセグ」。ただ、その具体的な効果や活用方法はいまだ見えていない。そうした意味で言えば、キー局がこうした番組を放送したことは、貴重なデータが取れそうで、今後に向けて大きな一歩となりそうだ。

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