2009.11 無料公開記事      ▲TOP PAGE



半数のユーザーが「1万円以上の買い物をしてもよい」
――ECサイトに関する利用実態調査






「モバイル通販の購入機会は前年より増加」――。
直近1年以内にPC・モバイルで通販サイトを利用したことがあるユーザーを対象にIMJモバイルが実施した「ECサイトに関する利用実態調査」によると、ユーザーがモバイル通販で購入したことがあるのは「書籍・CD・DVD」「衣料品・下着」「チケット」が多く、そのうちの約25%が直近の1年間に4回以上利用するなど、これらの商品ジャンルにおいては前年より購入機会が大幅に増加していることが分かった(グラフ1参照)。特に、「書籍・CD・DVD」は93.0%のユーザーが「購入したことがある」としており、小さい画面でも購入しやすい商材の特性が表れた格好だ。
かねてから高い成長性が期待されていたモバイル通販市場。2008年のモバイル通販市場規模は、総務省の調査によるとインターネット対応など利用環境の整備が進んだ結果、前年比14.5%増の3770億円に拡大。こうした成長性を睨み、従来のコスメや健康食品に加え、現在では、実店舗を持つ家電やアパレルなどの専門店なども続々と参入し始めている。市場の急激な拡大が期待されながら、これまではカタログの「受注ツール」という役割から脱却できていなかった感があるモバイルだが、その利用度は若年層を中心に確実に向上している模様。実店舗やPCと同様、モバイルは物販における「一般的な購入手段」として定着しつつあると言えそうだ。

7割のユーザーがメルマガを受信

PCに比べ集客手法の少ないモバイル通販において、欠かせない販促手法であるメールマガジンについては、その受信状況は、同調査によれば約5割のユーザーが「受信して読んでいる」状況。「現在受信しているが、読んでいない」ユーザーも合わせると、7割近くのユーザーがモバイル通販サイトのメルマガを「受信している」との結果が出ている(グラフ2参照)。
そのうち、こうしたメルマガがきっかけで購入した商品については、モバイルでは「ダイエット用品・健康食品・サプリメント」が31.1%とPCの28.8%を上回り最も多く、次いで「衣料品・下着」が29.3%、「服飾雑貨」がほぼ同率の28.3%という順(グラフ3参照)。モバイルは常時携帯しているという性質上、メルマガの着信はPCより気づきやすく開封率が高いため、今後も引き続き、各社が力を入れるポイントとなりそうだ。
なお、メルマガ経由の購入商品は、以下「食品・飲料・酒類」(27.5%)、「チケット予約」(24.4%)、「書籍・CD・DVD」(22.9%)となっている。

今後はモバイルで高額取引が増加?

また、ユーザーがこれまでにモバイル通販サイトで購入したことのある「最高金額」の割合は、「10万円以上」は1.0%、「5万円〜10万円未満」は1.0%、「3万円〜5万円未満」が9.9%、「1万円〜3万円未満」が29.9%となっており、約40%のユーザーが「モバイルで1万円以上の買い物をしたことがある」と回答している(グラフ4参照)。
一方、サイトで購入してもよいと思う「許容金額」は、「10万円以上」が3.2%、「5万円〜10万円未満」が4.8%、「3万円〜5万円未満」が9.6%、「1万円〜3万円未満」が28.3%となっており、「最高金額」より「許容金額」の方が高額の割合が多い結果に。また、50%近いユーザーが「モバイルで1万円以上の買い物をしてもよい」と思っていることが同調査で明らかになっており、こうした結果から単純に考えれば、今後モバイル通販では、これまでよりも一層、高額での取引が増加することが期待できそう。利用ユーザーの中心が若年層ということもあり、従来、低価格帯商材が向くとされてきたモバイル通販だが、高額商材の品揃え拡充を検討する余地はありそうだ。    
なお、同調査では、PCサイトはこれとは逆に、「許容金額」の方が「最高金額」より低額の割合が多い結果が出ている。

多いニーズは「詳細画像の表示」や「他商品との比較」

上記のような結果から今後、さらなる伸びが期待できるモバイル通販だが、では、成長を加速させるためにはどのような施策に着手すべきなのか。
PC・モバイルでの通販におけるニーズなどを調査した結果では、「商品の細部まで画像で見たい」(96.5%)という意見や、「複数のECサイトで商品比較をする」(89.5%)、「購入者のコメントやレビューを参考にして商品を購入する」(88.5%)などの意見が多かった。
これまでは、PCに比べて画面が小さいモバイルでは、商品の詳細な情報や他商品との比較、購入者のレビューのチェックなどがしづらい面があったが、iPhoneに代表される大画面タッチパネル式モバイルの普及や、定額パケットの加入などが進めば、PCサイト同様、モバイル通販サイトでも上記のようなニーズを満たしたサイトが増加し、市場規模の拡大が進むのは明らかだ。既に千趣会やJALUXがiPhoneでのカタログ配信を開始するなど、高機能端末の性能を活かした取り組みに着手する動きも一部で出始めており、今後は端末の高度化がモバイル通販のカギを握ると言える。モバイル通販実施各社はそうした動向にも注目しておく必要があるだろう。【編集部・河鰭悠太郎】






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