2008.8 無料公開記事 | ▲TOP PAGE |
薬局・薬店の届け出制盛り込む 新たな販売制度では、医薬品を効き目の強さなどに応じて、スイッチOTCの「ガスター10」などの「第1類医薬品」、風邪薬や漢方薬などの「第2類医薬品」、ビタミン剤などの「第3類医薬品」に分類し、それぞれ店頭での顧客に対する情報提供の方法や販売方法のルールを設定。また、比較的効き目が緩慢な「第2類医薬品」および「第3類医薬品」については、薬剤師以外に、都道府県が行う試験に合格した「管理販売者」でも扱えるようにしたのが特徴だ。 検討会では、商品パッケージの表示の仕方、店頭での商品陳列や顧客に対する情報提供の方法など、具体的な制度運用に関わる事項を議論。ネットを含めた医薬品の通販については、薬局・薬店が届け出を行うことが適当とし、ネット上で商品購入に必要な情報提供が図られていること、顧客が相談した際に、専門家が情報提供していることを確認できるようにすることなどを指摘。さらに販売後も必要に応じて店頭等で顧客の相談に応需できる仕組みの構築を挙げるなど、安全性確保などの面から、店販と同等の情報提供体制の構築を求めた形だ。 扱えるのは"3類"のみ?"対面の原則"の担保が 一方、最終報告書案で、ネット販売での取り扱い容認の方向を示したのは「第3類医薬品」のみ。「第1類医薬品」と「第2類医薬品」については、原則ネット販売での取り扱いは不可能というスタンスを示した。ここで、ポイントとなったのは、顧客に対する情報提供の方法だ。 新たな医薬品販売制度では、効き目の強さや副作用リスクに応じて医薬品を3分類し、それぞれに必要な情報提供の規定が設けられたが、元々、医薬品の販売では、専門家が顧客に必要な情報を提供する"対面の原則"がある。これまで店販がメーンだった医薬品販売で、ネット上でこの"対面の原則"が担保できるかが焦点となった。 実際、報告書案の内容を見ると、「第1類医薬品」は書面での情報提供が必要であるため、ネット販売には適さないというスタンス。つまり、書面による情報提供は手渡しでしか行えないということが「第1類医薬品」の取り扱いを認めない理由になる。また、情報提供が努力義務となっている風邪薬や水虫薬などの「第2類医薬品」については、"対面販売の原則"が担保されない限り販売を認めるべきではないとしており、情報提供規定のない「第3類医薬品」に限って、取り扱いを容認した形だ。 「第2類医薬品」については、見方を変えれば、"対面の原則"を担保するという条件付きで、今後の取り扱いに含みを残したとも受け取れる。だが、どのような仕組みが"対面の原則"を担保するものなのかは明確になっておらず、今後、ネット販売で取り扱いが可能になるかは不透明だ。 店販と同等の扱い求め意見書を提出 一方、医薬品ネット販売の普及を目指す日本オンラインドラッグ協会(JODA)は、検討会が最終報告書案をまとめた当日、厚労省に対し、最終報告書案に関する意見書を提出した。 JODAの意見書では、すでに医薬品ネット販売は、リアル店舗同様に"対面の原則"を担保した販売手法を確立しているとして、ネット販売の店販との同等の扱い、報告書案で取り扱いが不明瞭となっている「第2類医薬品」の販売を厚労省が作成を省令で認めるよう要請。さらに書面での情報提供を理由に取り扱いが制限された「第1類医薬品」についても、必要な情報を「PDFファイル」などでダウンロードし、顧客がプリントアウトするといった手法で十分対応できるとし、ネット販売での取り扱いを認めるよう求めている。 JODAは、同検討会で行われたヒアリングにも出席し、JODAとして考えるネットを活用した情報提供手法、医薬品ネット販売の流れなどを説明しているが、最終報告書案の内容については、ネット販売の"対面性"に対する認識や利用状況等の実態把握などに問題があり、記載内容が不十分との見方だ。 現状、JODAの意見書が厚労省の省令作りに影響を与えるかは不透明だが、1つ言えることは、薬局・薬店にも経営がある以上、顧客ニーズへの対応が必要で、いずれ有力な販売チャネルとして定着しつつあるネット販売の導入を考えなければならない時期がくるのではないかということ。その意味では、ネット販売を前向きに活用するための"対面の原則"を担保した販売手法を検討するという視点を持つことも重要だ。【編集部・後藤浩】
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