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健康コーポレーション、赤字転落へ

――「統一感ないM&A」が原因?




「豆乳クッキーダイエット」を看板にこれまで破竹の勢いで成長を遂げ、株式公開まで果たした健康ホールディングスが、2008年3月期中間決算時点で赤字に転落した。様々な原因が考えられるが、主因は主力商品かつこれまで業績をけん引してきたダイエットクッキーの売り上げの凋落にあるようだ。これにより、売上高の減少のみならず、目減り分のリカバーのために、実施した戦略がことごとく不調に終わったようだ。 いわゆる「ホリエモンショック」以降、なかなか店頭公開を果たすEC企業が出てこない中、札証アンビシャスに店頭公開を果たし、一躍、期待を集めた健康コーポレーション。同社の今回の赤字転落に至った原因を考えると、その場しのぎの小手先の施策では業績回復は難しそうだ。果たして同社に未来は、打つ手はあるのだろうか。


中間純損失は6億円に

健康ホールディングスが昨年12月21日に発表した07年9月期決算は売上高が86.6億円、中間純損失は4.7億円を計上し、中間ベースながら赤字に転落した。その大きな要因は中核子会社である健康コーポレーションの業績悪化だ。同じく同子会社の中間業績は売上高が前年同期比4.5%減の39.8億円。これまでの150%増や200%増といったインパクトのある数字は影を潜めた。売上高の成長がストップしたことよりも深刻なのは、利益面だ。本業の儲けを示す営業損益は2.1億円の損失。中間純損失は6.1億円まで膨れ上がった。
上期が最悪の折り返しを迎えた結果、健康コーポの通期業績予想は売上高が前期比55.3%減の42.7億円、営業損失は1.1億円、当期純損失は5.5億円と前年の好調な決算から一転、創業以来の危機的状況に陥る公算が高い。

「ダイエットクッキー」市場への対応が遅れ

では、今回の業績悪化の要因とは難なのか。最大かつ致命的な原因は主力商品である「豆乳クッキーダイエット」の売り上げの減少だ。同商品は文字通り、同社を株式公開まで押し上げた原動力だが、近年、健康コーポの成功を参考にダイエットクッキー市場に新たな競合他社が数多く参入。危機感を募らせた健康HDは巻き返しを強化。しかし、これが裏目に出たようだ。
これまでの水準を超えた大量の広告を投入。ただ、これまでほぼ、独占的に展開してきた状況とは異なり、ダイエットクッキーには競合が多く、ユーザーの選択肢が広がっている。加えて、広告展開に関しては、特にネット販売では表現の規制も厳しくなり、これまでのような「痩せる」「ダイエット」といった言葉が使えない。さらに同社では、2006年に「楽天市場」でランキング1位になったことを武器に、ネット販売での売り上げを伸ばしてきたが、2008年は1位を謳うことができなくなった。こうした要因が重なり、広告費をいくらかけても、売り上げに結びつかず、利益を圧迫した。

持株会社化による「M&A」が足かせに

通販事業以外でも悪化の要因が見られる。同社は、昨年9月に持株会社に移行し、持ち株会社「健康ホールディングス」を立ち上げた。06年から本格化した「M&A」に対応するためだ。化粧品メーカーや健康器具メーカー、さらには水産物加工会社、乳製品加工会社など8社を買収するなどして子会社化。単品通販企業からの脱却を図ることが目的だったが、あまりにも短期間で多くの企業を吸収合併した結果、健康コーポの利益を食いつぶす形となってしまった。
今後、これら子会社が有益な商品群を生み出すならば、先行投資としても考えられなくはないが、一部投資家の間からは、「将来性を感じさせない、統一性のないM&A」との声も聞こえる。売り上げの約90%を「豆乳クッキーダイエット」に依存する体質に危機感を抱き、その焦りから「何かを始めるために買収」したのではなく、「買収してから何かをする」といった様相が、一連のM&Aには強く感じられると見る向きもある。
厚生労働省が今年4月から「特定健診」を開始し、健食市場は「メタボ元年」と掲げ、新たな商品を投入し対応している。健康をテーマにした商品を展開する同社だが、「健康ブーム」に乗り、再びもとの勢いを取り戻せるか。構造改革を進め、買収を進めた子会社をいかに使いこなせるか。総合健康企業への脱皮の有無が同社の浮沈を決めそうだ。【編集部・筬島英史】


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