2007.9 無料公開記事 | ▲TOP PAGE |
「テレビをネットにつなぐ」を業界一丸で TVPSは松下電器産業、ソニー、シャープ、日立製作所、東芝の家電メーカー5社とソネットエンタテインメントが出資して設立。ブロードバンド接続機能を持つデジタルテレビの"共通テレビポータル"の規格および提供が目的だ。松下1社で提供していた「Tナビ」や同じくソネットエンタテインメントの「TVホーム」を継承するのと同時に、他の家電メーカーも参画した形で、それまで利用者が伸び悩んだ「テレビをネットにつなぐ」サービスに業界が一体となって本腰を入れているのが見て取れる。 テレビをネット接続することで、テレビの可能性は広がる。テレビ番組の "時間割り"に関係なく、好きな時に好きな番組が視聴可能となる。こうした利点に着目し、TVPSもネットインフラを活用したテレビ向けポータル「アクトビラ」を立ち上げ、ニュース、生活情報などを常時提供してきた。そして、そのキラーコンテンツと目されるのが9月から始まる動画配信(VOD)だ。 これまでのVODはケーブルテレビ会社などが提供するもので、専用のセットトップボックス(STB)が必要だったが、「アクトビラ」ではテレビのみで利用可能だ。ただ現在、対応しているテレビは8月9日に発表された松下のビエラ4機種のみ。他のメーカーからは年末商戦に向けて発売されるという。また、規格はオープンとしており、今後は数多くのメーカーのテレビに搭載される方向だ。 家電業界では、テレビ放送が地デジに完全移行する2011年には、こうしたネット接続テレビの普及率が7割まで進むと予測。「アクトビラ」のコンテンツ如何で、テレビをネット接続して使う行為は急速に広がっていくと見られる。 中高年ユーザー取り込みに有効か? 当面、「アクトビラ」のVODは映画、ドラマ、バラエティ、アニメなどだが、将来的には、通販事業者のショッピングコンテンツなども取り扱っていくという。すでに「アクトビラ」内の静止画サービスでは、DHCやホームセンターのコメリなどが出店。コメリでは「動画配信の時期は未定だが、素材は製作し、まずは自社ECサイトで配信し、将来的にはそれを『アクトビラ』用に変換してVOD配信することを検討中」としている。 「アクトビラ」の動画配信は、ネット動画でありながら、PC利用者ではなくテレビ視聴者に番組が届く点に、最も期待が高まる。先のコメリでは、メーン顧客が中高年以上のため、通常のネット動画ポータルでは訴求力が弱い。一方、世代を問わず視聴者がいるテレビであれば、リーチしたい層と見事にマッチするわけだ。ブロードバンド接続世帯が増え、今後もデジタルテレビへの買い替えが進むことを考えれば、ネット通販の担い手はPCからテレビに流れるかも知れない。 【編集部・小西智恵子】
|