2007.5 無料公開記事      ▲TOP PAGE


モバイルコンテンツ連動型広告、次々とサービスINへ
――モバイル検索利用増が後押し





サイト内容と関連性の高い広告を掲載する、いわゆるコンテンツ連動型広告サービスがモバイル上でも次々に開始されている。今年に入り、2月から検索連動型広告大手のオーバーチュアが他社に先駆けて、携帯サイト上でコンテンツ連動型広告サービスを開始。これを皮切りにビットレイティングスやウェブドゥジャパンなどの携帯電話向け検索サービス企業も同広告の開始に踏み切る。
昨年、携帯電話の3キャリアが公式メニュー内に「検索」を実装。これに伴い、モバイル上でも検索利用が増加している。従来、公式メニュー内に閉じ込められていたユーザーも検索を通じて、勝手サイトへのアクセスも増えてきているという。
トラフィックの分散により、俄然、モバイル上でのコンテンツ連動型広告の有用性が高まってきた。分散したユーザーを集客する手段が必要となってくるはずだからだ。また、PCと同様にモバイルでも個人のブログなどが増え始めており、今後はよりモバイルユーザーの分散傾向は加速していくと推測される。
PC上ではグーグルが実施するコンテンツ連動型広告「アドセンス」がすでに高い集客効果を上げており、その効果は実証済み。今後、コンテンツ連動型広告はモバイル上でも効果的な集客手法になり得るのか。モバイルコンテンツ連動型広告の現状を見てみる。

まずオーバーチュアが参戦

モバイルコンテンツ連動型広告の口火を切ったのはPC上で検索連動型広告を展開するオーバーチュア。07年2月1日から、NTTデータと提携し、モバイル上でのコンテンツ連動型広告「コンテンツマッチモバイル」を開始した。NTTデータの日本語解析技術「なずき」を使い、広告を開催するモバイルサイトの情報を解析・抽出。サイト内容に即した広告を自動的に配信する。クリック課金で広告料金は同社が展開する検索連動型広告と同様のキーワード入札制で、最低入札単価は9円。まずはリクルートの「R25式モバイル」の「R25式ニュース&トピックス」上で広告を掲載。他の媒体社についても現在、検索連動型広告を配信しているサイトを軸に、順次配信を拡大する意向で07年末までに50サイトへの配信を目指す。

ビットレイティングスも実施

オーバーチュアのモバイルコンテンツ連動型広告サービス参戦から遅れること約2ヶ月後の4月11日、モバイル上でコンテンツ連動型広告「focas match(フォーカスマッチ)」を開始したのは、モバイル検索ポータルサイト「F★ROUTE(エフルート)」を運営するビットレイティングスだ。
自前の解析エンジンで広告配信先サイトの内容を解析。1万パターン以上の広告種別から、広告掲載先のサイト内容と合致する広告を掲載する。広告掲載はモバイル情報検索サイト「Askモバイル」や「エフルート」から開始。現在、モバイル検索機能を提供する千五百サイトを中心にモバイルブログなど個人運営者などにも広告掲載を増やす。
「focas match」はオーバーチュアを通じて販売。オーバーチュアは先に開始した自前のコンテンツ連動型広告との2本立ての展開となり、疑問が残るが、関係者によれば「オーバーチュア(のコンテンツマッチモバイル)はサイト内容を読み取るNTTデータの日本語解析に対応するために(広告を掲載する)媒体サイトの負荷が高い」らしく、一定規模のサイト運営者でないと、現実問題として、「コンテンツマッチモバイル」を掲載するのは難しいようだ。そのため、オーバーチュアとしては比較的、サイト運営者に負荷がかからない「focas match」と2本立てで展開し、モバイルコンテンツ連動型広告のシェアを高めていきたいようだ。なお、「focas match」もオーバーチュアが販売する整合性から、「コンテンツマッチモバイル」と同様、キーワード入札制で最低広告単価も同様の九円。ビットレイティングスでは現在、検索サービスを提供する約1500のサイト運営者を中心に広告掲載を増やし、広告の露出を高め、同事業単体で07年度に約2億円の売上高を見込む。

ウェブドゥジャパンは5月から

5月からは携帯検索サイト「CROOZ!」を運営するウェブドゥジャパンが参戦予定。まず、同社のモバイル検索ポータルで導入。その後、同社も自社の検索サービスを提供する情報サイトやポータルなど260サイトを中心に広告掲載先を増やす。広告単価は将来的にはキーワード入札制への移行を検討しているが、当面はキーワードジャンルごとに固定料金制を採る。最低単価は15円から。初年度に250社の広告主獲得を目指すとしている。
 今後はグーグルなどPCではすでにコンテンツ連動型広告を展開している大手の参入なども予想されるモバイルコンテンツ連動型広告。また、厳密にはコンテンツ連動型広告とは言えないものの、サイトの内容に合致した広告を自動掲載するモバイル広告をすでに開始しているサーチテリアのサービス強化や、現在、サービスを休止しているシーエー・サーチの「KEITAI BlogClick(ケータイブログクリック)」の再稼動なども注目される。
そもそも、モバイルのトラフィックの約7割は勝手サイトだったという説もある。加えて、モバイルの検索が導入、一般化してきたことで、「公式」に集まっていた残り3割のユーザーも「勝手」サイトへと分散が始まっている。PCの「ヤフー」のような圧倒的なトラフィックを持つサイトが存在しないモバイルサイトにおいて、分散したユーザーを自社サイトに集客する手法として、PC以上にモバイルではコンテンツ連動型広告は重要な手法になるのかも知れない。【編集部・鹿野利幸】

キャプション
4月から開始したビットレイティングスのモバイルコンテンツ連動型広告「focas match」(※サイト中央上の「スポンサーサイト」が広告部分)

▲TOP PAGE ▲UP