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新たなアフィリエイトサービスで会員との連携強化、ネット部門活性化策へ






 2006年12月期連結業績で4期ぶりの増収、最終黒字を果たしたセシール(本社・高松市、佐谷聡太社長)。ネット部門の売り上げも着実に増加しており、当期のネット部門売上高(受注ベース)は、当初目標の180億円には届かなかったものの、165億円にまで拡大した。前期は、2006年4月にショッピングサイトの刷新を行ったほか、アフィリエイトフィーの見直し、商品を使用したモニターのレポートを掲載する「せし・レポ」、商品高機能バナー「せし・まど」の導入など、顧客やアフィリエイターの使い勝手向上を中心とした施策を展開。これがネット部門の売り上げ拡大にも寄与した。今期は、ネット会員との連携強化と顧客視点に立ったサイト作りを推進。その具体策となるのが、近く展開を予定している会員向けの新アフィリエイトサービス「せし・リエイト」(仮称)だ。
ネット会員が企画を立案、顧客視点の特集ページ作りへ
同社は昨年8月に、ネット会員数が200万人を突破。2006年12月末時点の会員数は216万人で、このうち80万人が2006年中に稼働した"アクティブ会員"になる。今期の取り組みのベースとなるのは、「(過去1年間に)1回でもセシールを体験したことのあるアクティブ会員」(島元大輔ネットマーケティング本部長)との連携強化を図りながら、ネット通販部門の活性化につなげていくこと。その1つの試みが「せし・リエイト」になる。
概略としては、同社をはじめ総合通販企業のショッピングサイトに設けられている特集ページの企画立案からショップ作りまでを会員に行って貰い、売り上げに応じた成果報酬を支払うという形になる。
特集ページの展開については、同社でも前期に力を入れ、毎月アップする企画本数を拡大。これがネット通販部門の売り上げ拡大に寄与した面もある。だが、一方では特集ページの企画立案を「ネットマーケティング本部」の担当者2、3人で行っている関係で、「どんなに頑張っても月間10本の企画を作るのが精一杯」(同)で、展開の拡大には限界も見えていた。
そこで考えたのがネット会員に特集ページの企画を考えて貰うこと。なかでも、「セシールのことを知っていて、商品を購入した経験がある」(同)アクティブ会員を上手く巻き込んでいくことだ。
顧客には、それぞれの趣味嗜好があり、商品に対する見方は様々。アクティブ会員に当てはめれば、80万人それぞれに異なった視点があり、2、3人の担当者で月間10本が限界だった特集ページの企画数を飛躍的に拡大させることができる。
また、内容についても、「顧客の視点には、我々が想像もつかないような切り口がある」(同)ということを考えれば、従来にはない斬新な切り口の企画ができる可能性もある。この点では、他の総合通販が手掛ける特集ページとの差別化も期待できる訳だ。
基本スタンスは"会員と一緒に儲けていければいい"
今回の取り組みでは、会員に企画立案を行うだけではなく、特集ページの作成までを手掛けて貰い、売り上げに応じた成果報酬も支払う訳だが、成否を握るポイントは、ページの作成ツールにあると言っていい。
同社のネット会員の主要層は主婦。ネットでの商品購入履歴があるとは言え、それほどパソコンに詳しい訳ではない。自らが考えたコンセプトのショップを開設し、商品を売るという点は、会員にとって魅力的と言えるが、ショップを作るツールの操作が難しければ、主婦層が手を出しにくい形になってしまう。
この部分については同社でも予想しており、極力簡単にページを作成できるツールを開発。概要としては、簡単な管理画面を用意し、カタログに載っている商品の品番などを入力すると、パソコン画面上に商品画像や説明文の入力フォームが自動的に表示されるような形を構想。会員は特集のタイトルや説明文を書き込むだけで、ページを作成できるようにする。また、特集ページで商品が売れた場合には、ポイントでページを作成した会員に利益を還元する考えだ。
「せし・リエイト」の基本スタンスについて「会員と一緒に儲けていくこと」(同)とする同社。自社サイトの活性化とネット部門の売り上げ拡大、自分の作ったショップを通じ成果報酬を手にするという双方のメリットを追求し、WINWINの関係作りを構想する。今後の展開次第では、ネット上で何らかの情報を発信したいという顧客ニーズを取り込み、新規会員の獲得策として機能する可能性もある。
【編集部・後藤浩】

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