2006.05 無料公開記事      ▲TOP PAGE

最大目標は複数局での同時ネット配信

谷崎敦彦デジタルダイレクト社長



 当社はこれまで、何か新しい有望なサービスが登場した時は、一番にテレビ局へ「コストはかかりませんし、うちが必要なものは全部用意しましょう」という形で提案してきました。その流れを背景にワンセグ関連についても各局から当社にお声がかかったので、まずは実験的に展開してみようということになりました。

 当初は名古屋の中部日本放送(CBC)さんと組んで展開しますが、関西地区や九州地区、北海道にある局などとも話を進めています。基本方針は、あくまでテレビ局と実験的に共同展開していくということです。

システムの高可用性などで先行狙う

 いきなり大きな収益を見込めるというものではなく、当面は先行投資的な意味合いが強いと思います。ただ、08年以降にワンセグ独自の番組制作・放送が解禁になれば、さまざまな取り組みが可能になると考えています。

 まず、先行メリットということで言うと、ユーザーの同時アクセスに耐えうるサーバーの運用・管理に関するノウハウがあります。また、デジタル放送時代に突入したことで今後、局は生放送番組を制作することに強い関心を示し始めるでしょう。いち早く成功事例を作り上げることができれば、多くの局から需要を集められると見ています。

 提供するシステムは、最大3万件の同時アクセスが可能な耐久性を備えたハードウェアと、アクセスしてきた視聴者の個人情報をリアルタイムに番組の画面上に反映できるソフトウェアが主な内容となります。CBCさんとはクイズ形式の企画を展開しますが、簡単なものであれば、各局の要望に応じた生放送の番組企画を当社のシステムを通じて具現化することも可能です。

通常放送に対して売り上げは2割増

 CBCさんとは最初だったこともあり、システム構築期間は約半年かかりましたが、次回以降は3カ月程度で対応できます。

 今回のCBCさんとの共同展開では、ワンセグ対応の携帯電話を保有する視聴者はまず、「名前」「アドレス」「電話番号」「住所」――などの個人情報を入力して会員登録する必要があります。会員登録を済ませた視聴者は、「2次リンクサイト」と呼ばれる全画面表示の番組関連サイト上で懸賞クイズに参加できるようになるスキームを取っています。

 また、ワンセグ対応端末を持っていない視聴者にもご利用いただけるように、通常のモバイルサイトからでも同サービスを利用できるように作ってあります。視聴者は据え置き型テレビで番組を見ながら、携帯電話をリモコン代わりに使うことで、クイズに参加するという利用形態が根付くきっかけになればと思っています。

 これにより、CBCさんは視聴者の番組参加意欲が高まって視聴率が増加し、当社は通常放送に対して2割増の売り上げが見込めると見ています。

 今後については、年内に4局程度の局さんとこのシステムを導入した形で共同展開できればと考えています。将来的な視野での最大の目標は、各局さんと共同展開する同時ネットでのサービス展開。これができれば全国規模でさまざまな企画が行えるので、かなりのインパクを備えるサービスに成長すると思っています。

 今は懸賞クイズだけの提供ですが、08年のワンセグ独自放送解禁などをメドに、もっと踏み込んださらに視聴者が楽しめるサービスモデルが出てくると思っています。これに当社のシステムを導入した局さんとの同時ネット配信を生かせれば、各局さんの視聴率向上はもちろん、通販という意味でも、さらに大きな売り上げ増加要因の1つとなるのではないでしょうか。(談)

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