2006.04 無料公開記事      ▲TOP PAGE

"ネット広告"のトップ企業になる

坂田祥司●三井物産ヴィクシア代表取締役社長




 ポイントプログラム、成果報酬型ネット広告など数多くの先端ネット広告サービスを具現化してきた三井物産。同社が今後、ネット広告事業を一手に集約させる専門会社を設立した。今後、海外の有望なモデルの日本展開のスピードを加速させると同時に、広告主への複合提案を強め、一気呵成に成長分野であるネット広告市場のシェア獲得に乗り出す。日本を代表する総合商社が手がける新たなネット広告とはどのようなものなのだろうか。(聞き手は本誌・鹿野利幸)

「ゼロ」からの市場調査は不要
需要の生むは広告主に聞けばいい


――ネット広告事業に特化した専門会社「三井物産ヴィクシア」を立ち上げました。三井物産としての狙いは何ですか。

 もともと三井物産でeマーケティングと呼んでいるビジネスはほとんどの場合、海外パートナーと組んで展開してきました。立ち上げ時には初期投資などのコストもかかります。いきなり別会社化せず、三井物産の中でプロジェクトとして立ち上げ、ある程度、メドが立ってから子会社化して独り立ち、もしくはパートナーとのジョイントベンチャーにする流れです。実際に巣立っていったのが昨年1月に独立した成果報酬型ネット広告事業の「リンクシェア・ジャパン」などですね。

 三井物産内で開始しているネット広告事業として現在、eメールマーケティングの「miems(ミームス)」および検索連動型広告の「LISTOP(リストップ)」がありますが、これも三井物産内のプロジェクトとしてサービスをスタートさせてきました。この2つのサービスもある時点で子会社化しようと思っていたわけです。

 ところが「ミームス」の会社、「リストップ」の会社、また今後、立ち上げる「○○という会社」と1つ1つ分離、独立させていくと問題も出てくるわけです。我々からすれば、グループ会社ではありますが、EC事業者など広告主から見れば別々の会社であり、別々のサービスであって、分かりにくいのは確かです。お客様が望んでいるのは、それらのサービスを組み合わせた効果的な総合的なサービスのはずです。

我々からしてもサービスごとそれぞれに営業では効率が悪くなってしまいます。今までように個々に別会社にしていくと営業面でも「リンクシェア」は「リンクシェア」を売り、「ミームス」は「ミームス」を独自に売ると。では今後、新しいサービスを始める際には、新たにコストや人を集め、ゼロからフィージビリティスタディ(市場調査)を行わねばなりません。

そこに何らかの「受け皿」があった方が、新しいサービス開始を志向した時に、そのサービスが「(広告主に)使ってもらえそうか」「値段的にはいくらくらいで販売できそうか」または「サービス自体が駄目なのか」などこれまでのサービスをご利用頂いているお客様に伺うこともできるわけです。

これまで単一のサービスしか利用いただいていなかったお客様に他のサービスも提案すると。重要なのは営業体制が今まではサービスごとに営業員が担当していたが、お客様ごとに変えることです。当該企業を良く分かっている担当者ですから、我々もそうですがお客様にとっても利便性は高まります。そういった観点から受け皿として、また統合的な組織を作る必要があるのではないかと考え、1年間位から「統合eマーケティング会社」の立ち上げ準備を開始してきました。社内プロジェクトで進めてきた「ミームス」も「リストップ」もそれなりの規模になってきましたし、具体的に今後サービスを検討している新たな案件も出てきたので、このタイミングでの総合的なネット広告の専門会社の設立に踏み切ったわけです。(続きは月刊「ネット販売」にて)


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