2006.04 無料公開記事      ▲TOP PAGE

ソフトバンク、ボーダフォン買収

モバイル通販への影響は?




国内最大の買収金額

 自力での携帯電話事業参入から一転、1兆7500億円という国内では最大の買収額で国内第3位の携帯電話キャリアを傘下に治めたソフトバンク。自己資金とLBO(レバレッジド・バイアウト=買収先の資産を担保に資金を借り入れで行う企業買収)で取得したボーダフォンの日本法人を今後、てこ入れ。ISP事業で構築した全国の通信ネットワークを駆使し、コスト削減を進める一方で、既存の固定電話とのクロスセル、営業力強化などグループ間のシナジーを活かし、携帯電話事業の拡大を図っていく。

 「(3G=第3世代携帯電話の)つながらない場所をなくす」(孫社長)ため、今後、年間2000億円程度、基地局の設備投資などを行っていくなど、インフラ面を強化する一方、待ち構える競合キャリアのNTTグループ、KDDIからユーザーを奪還するために必要なのが、コンテンツの強化。「ソフトバンクグループを総動員」(孫正義社長)し、傘下企業のサービスをボーダフォンのコンテンツとして投下していく方針。特にこのコンテンツ強化のカギを握るのがソフトバンクの中核企業の1社、ヤフーだという。ソフトバンクによるボーダフォン買収およびヤフーとボーダフォンの連動により、実際のところ、モバイル通販実施企業にとっては、どのような影響が出てくるのだろうか。

低料金戦略は当面ない?!

 ソフトバンクによるボーダフォン買収にモバイル通販事業者にどんな影響が出てくるのか。仮にISP事業でソフトバンクが行ったように徹底した低価格戦略に打って出れば、番号ポータビリティなども後押しし、ボーダフォンの契約回線数が拡大。単純に現在のドコモと同様、ボーダフォン対策にも本腰を入れる必要が出てくる。ただし、3月17日の記者会見の席上、低価格戦略に関しては「まだ、コメントできる段階ではない」としており、いつものような強気の発言は陰を潜めている。

 これはLBOで調達したボーダフォンの買収資金、1.1〜1.2兆円の返済を今後、ボーダフォン自身の稼ぎで年間3000億円程度ずつ、返済していかねばならないという事情が背景にある。借金返済のメドが立たないうちに、リスクの高い勝負はできないというのが本音のところだろう。すると、ユーザーを拡大するため、現実的な策としては孫社長の言う通り、日本最大のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフーの強力なコンテンツ力との連携だろう。(続きは月刊「ネット販売」にて)
【鹿野利幸】


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