2006.11 無料公開記事      ▲TOP PAGE

新潮流・通販を変える◇ネットビジネスの開拓者に聞く

ECの"チープ革命"を担う

中島 正三●パワーテクノロジー取締役会長



 ネット販売を行う上で必須条件となった「検索対策」。EC事業者に深く浸透した集客施策の定番だが、定番であるが故に他のECサイトとの対策競争は熾烈。これに伴い、EC事業者の検索対策を代行する専門業者間の競争も激しさを増している。独自の事業スタイルで最後発ながらEC事業者からの支持を受け、日本でトップシェアに登り詰めたSEO代行専門企業は検索対策における"チープ革命"を自ら巻き起こし始めた。(聞き手は本誌・鹿野利幸)

新しい技術というのは高額になる。
ただ、定番技術は低額になるべき。

受託サイト数は日本トップシェア


――前職はIT業界ではなかったですよね。転身のきっかけは何だったのでしょうか。

今でもそうですが、「何がしたい、これがしたい」というのではなく、基本的に嫌じゃない仕事は、やる以上は一生懸命やりたいと思ってきました。反対に嫌な仕事はやりません。私はもともと長らく保険会社に在籍しており、言ってみれば「脱サラ」です。次の仕事はお客様に喜んでもらえるようなことをやりたかった。私しかできない、私のアイデンディが光るような仕事ですね(笑)。
営業マンをたくさん使って、労働集約的に仕事を取ってくるようなビジネスは短期間で拡大する可能性を秘めており、チャンスもあります。
ただ、私は大きくならなくてもいいが、私の会社を評価して頂けるファンをきっちり作りたいと思いました。10人中、8人に評価されなくても、残りの2人に評価されればいいと思いました。
そうしたビジョンありきなので、SEOのことははっきり申し上げて、ちょっと前まではほとんど知らなかったです(笑)。1から必死になってひたすら勉強しましたよ。まあ、日々の食い扶持も必要なので1人でマーケティング代行なんかもやりながら、毎日、朝方まで専門書ばかりひたすら読み続けていましたね。

――そうした経緯を経て(笑)、事業を開始したわけですが、現在、数あるSEO(検索エンジン最適化)専門企業の中でも、一際大きく業績を伸ばされているようです。

 現時点での受託サイト数は約160サイトとなっています。当社のクライアントは「検索」をブランディングとして活用するのではなく、集客手段として活用されるEコマース事業者が多いのが特徴です。
過去これまでの受託実績の総数で160サイトという事業者はありますが、当社の場合、この数字はアクティブ顧客です。上場されている検索対策代行企業と比較してもSEO単体では当社の方が顧客企業数は多いと思います。恐らく顧客企業数では日本でトップシェアに近い規模だと考えています。

――SEO代行業務を開始されたのは昨年から。驚異的な伸びですね。ただ、当時はもうSEO専門業者は相当数いました。なぜ、SEOだったのでしょうか。

バナー広告、リスティング広告、アフィリエイト広告など他のネット広告も当時からありました。でも、ニッチではあるが、だからこそ、SEOにはまだチャンスがあると思っていました。私達はベンチャーです。投資を控えつつ、かつ効果を生むビジネスを目指していました。これには「ノウハウ的なビジネスであること」が必須条件でした。ノウハウを構築していけばレバレッジがきくビジネスが展開できます。その点でSEOは適していると判断しました。

――具体的には。

我々がSEO代行事業を開始した2005年1月の時点では「SEO=テクノロジー」と語られており、非常に難しいものだとされていました。実際、調査してみるとSEO対策を行っているという企業も満足いくほどの上位表示はできていませんでした。ここにチャンスがあるだろうと。

――確かに検索対策はEC事業者にとっても頭の痛い問題です。以前は専門書などを一通り読めば、何とかなっていました。ただ、サイト運営社もそれぞれに対策を行っており、検索結果の上位表示が難しくなってきています。

言うまでもありませんが、検索結果の上位表示と言うのは、内的要因と外的施策があります。ですからSEOはWEBページの中とWEBページの外でそれぞれ施策を行えばいいわけです。簡単に言うとソースとリンクの2つに集約されます。
SEOと聞くと皆、非常に難しく考えるけど、基本的にはシンプルなもので"テクノロジー"でも何でもありません。ポイントは把握したSEOの仕組みに従って、これに合致させるようソースの修正、良質なサイトへのリンクの登録などなどを、どううまく効率的に行うことができるのか。やっていくか。要するに完全にオペレーションの世界だと思っています。

――オペレーションですか。SEO代行というと「職人」のような知識の豊富な人が一人でやっているようなイメージあります。

多くのSEO代行業者はそうなのかも知れません(笑)。それはそれでよいのかも知れませんが、どうしても1人でやっているとチェック体制も甘くなります。我々の場合、スタッフそれぞれに「知識」を徹底的に持って、正社員は業務全体を知ってもらい、その上で1つのパーツ業務を任せる。その知識を契約社員等にフィードバックしながら全体の作業を進めていく分業制を採っています。分業制を採ることで見積もりから提案書作り、実際の業務から、アフターフォローのまで一貫した流れ作業体制を構築しています。

(続きは月刊「ネット販売」にて)

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