2005.8 無料公開記事    ▲TOP PAGE

「Yahoo!モバイル」の責任者に聞く

サービスのユビキタス化で
モバイルでも覇権の獲得へ

ヤフー サービス総括部 企画室
川邊 健太郎 プロデューサー




定額性でアクセス数が急拡大

――現状、モバイル領域では携帯電話キャリアの力があまりに強く、「公式サイト入り」などキャリアなくしてはモバイル上でのビジネスは成り立ちにくいのが現状です。しかし非公式サイトである「ヤフー!モバイル」のアクセス数は好調だと聞いていますが。

 そうですね。現在のアクセスは1日あたり3000万ページビュー(PV)を突破しています。現状、キャリアのオフィシャル(公式)サイトも含めて、モバイルサイトでこの数字を上げているところは、ほとんどないですから、PVでは日本最大級のモバイルサイトだと言えるでしょう。

 要因はいくつかあって、全体的な背景としては、パケット料金の定額制ですね。KDDIさんが約3年前に定額制を導入されましたが、それ以降の(「Yahoo!モバイル」の)アクセス数の伸びが明らかに変わってきました。

 加えて、我々のサービスもすでに40くらいのサービスを展開しており、生活に必要なものは、ある程度はそろえてきています。中でも特に利用者を押し上げているのは、「オークション」「メール」などですね。

 我々はすべてのインターネットサービスにおいて「いかにユビキタス(注1)に作っていくか」を基本に置いています。つまり、PCでも携帯でも同じサービスをユーザーが状況によって使い分けることができるように作っています。ネットユーザーはすでに、かなり自然な形でサービスをユビキタスに使っています。

 例えば、PCと携帯電話のメールを使い分けていたり、電車の路線検索などもそうですよね。旅行など計画的に予定を立てるときにはPCを使い、単に今日飲んでいて終電を調べる場合は携帯からだったりとか(笑)

 「オークション」と「メール」に関しては、以前からユビキタスにサービスが使われることを想定して、PCでも携帯でも進めてきたものなので、これがまさに(「Yahoo!モバイル」の利用者数を)引っ張っているという状況を見ると我々の考え方は正しかったと実感しています。

 インターネットのサービス全般に言えることですが、どこかの公式メニューに入れば、誰もが利用頂けるという簡単な話ではなくなっています。ですからヤフーとしては、とにかくサービスをパソコン、携帯両方で使いやすくしていくことに尽きると。そうすれば、おのずとモバイル領域においても、メジャーなサービスになっていくのではないかと考えています。

――モバイル市場ではキャリア同士のシェア争いが激化しています。ただ、ヤフーがモバイルでもポータルを目指すとなると、サービスのプラットフォームの入り口を巡り、「キャリア対ヤフー」のような新しい構図も生まれそうです。

 そういう場面もでてくるとは思いますが、やはりポイントはサービスなのだと思います。定額制などが浸透してくれば、恐らくプラットフォーム論はだんだんと終焉を迎えるでしょう。「モバオク」とか「デュオゲート」などはKDDIさんが他社と共同で展開しているのに、なぜか3キャリアに対応している形になっていて、対立の構図もこれまでとは多少、異なり始めていますし。

 では、これらとどう対決していくかというと、それはまさにサービス本位なのかなと。例えば、「『モバオク』と『ヤフオク』というモバイル競売サービスはどっちが使いやすいんだっけ」と考えた時に、「PCからも使えるから、『ヤフオク』のほうが使いやすい」あるいは「『モバオク』は携帯の特性をよく考えられているな」とか、そういう理由でサービス本位にユーザーに選択されていくのではないかなと思っています。

 繰り返しになりますが、我々がそこでこだわっているのは、やはりユビキタスです。今はたまたま、PCと携帯電話ですが、将来的には恐らくカーナビとかテレビなど、インターネットに接続できる端末が増えていくでしょうから、それでもどこからでも「ヤフー!」にアクセスできるような環境整えていこうと考えています。そういうプラットフォームが増えていけば増えていくほど、どんどんサービス本位になっていくと考えています。(つづく)
(聞き手は鹿野利幸)


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