2005.8 無料公開記事    ▲TOP PAGE

ネット通販サイト

アパレルブランドの知名度を活用
複数ブランドそろえ、集客力生み出す




 旬≠売りとするファッションアパレルブランドの通販というモデルを生み出し、拡大させてきたのは、ネットを中心に展開しているネット通販事業者であることは過言ではないだろう。

 短期間で企画してトレンドを追求するファッションアパレルに対して、制作期間に数カ月間かかるカタログはトレンドを追求しにくく、ダサイ<Cメージが浸透。また、少量多品種で展開するファッションアパレルから、一度に大量の在庫が求められるカタログ通販は敬遠されてきた。

 これらの問題点をネットによって克服。時間の壁を超え、店頭と同じタイミングで紹介できる点がファッションアパレル通販を普及させた。


ただ、店舗をメーンに事業を展開してきたアパレル企業が個人対応の通販を行うことは手間や負荷がかかることから着手しづらかった。この点に着目した各社が、ネットによるファッションアパレル通販に相次いで乗り出した。

ファッション誌活用で市場形成

 ファッションアパレル通販が普及し始めたのは2000年。6月にサイト「スタイライフ」が、通販雑誌「ルックス」を発行していた前身のニチメンメディアのネット事業を分社化した形で誕生した。「ルックス」の掲載商品だけでなく、既存ファッションアパレルブランドをネットだけで扱うというものだ。

 この年は、ファッションアパレル通販サイトのバブル期と言えよう。8月に、伊藤忠商事の1事業部門が運営するサイト「マガシーク」が誕生。「ファッション誌の掲載商品が買える」をコンセプトに、商社の強みである商品生産力やアパレル企業との関係性を活用して、ネット通販を開始した(03年4月に独立分社化)。

 通販事業者側は、出版社と提携することで、あくまでも編集記事の一環やタイアップ企画として展開している点に、読者をサイトへ誘引しやすいメリットがある。「雑誌掲載」という第三者的な視点と、ネットの即時性を掛け合わせたものだ。

 また、ネットに商品画像を1点掲載しておけば、あとは受注状況に応じて商品を発注していけばいいため、アパレル企業にとっても在庫負担の心配が低減できることもメリットだ。

 消費者にとっては、ファッション誌に掲載されている商品であればブランドに知名度があり、誌面に商品写真があるので、ネットでも買いやすいという点を突いている。(つづく)
(峯木多恵子)


▲TOP PAGE ▲UP