2005.7 無料公開記事    ▲TOP PAGE

オークションをめぐる「冷戦」

法規制導入で経産省とオークション事業者に温度差



ネットが提供する「買い物文化」
取扱高は既に5000億円超に

 「おめでとうございます。あなたが落札しました」――。インターネットの登場で、急速に日常生活に広がったものの1つがオークションだ。

消費者対消費者間(CtoC)で「要らないもの」と「欲しいもの」を取引。これにより、究極の「中抜き」が可能となり、出品者、落札者とも価格のメリットを享受できるケースも多い。


またいくらで競り落とせるかを落札者間で駈け引きするゲーム性も魅力だ。オークションは、ネットが提供する新しい「買い物文化」とも言える。

これを裏付けるように、ネットオークションの取引高は、既に最大手のヤフーだけで5000億円を超える規模に拡大。これを仲介する大手ポータルやモールは、オークションの「場貸し」で収入が得られ、極めて利益率の高いビジネスを展開できる。

ところがこのオークションをめぐり、現在、経済産業省と事業者の間で、微妙な綱引きが行われている。

経済産業省はオークションでの取引のうち、個人ではなく事業者が行うものは、法的に「通信販売」と明確化し、特定商取引法の網をかける方向だ。

一方、ヤフーなどオークション事業者は、過大な規制の導入を警戒し、あくまで「自主規制」を主張している。

一部は犯罪の温床?
ネガティブ面も否定できず

半月間で「15事件」――。ネットオークションに関して、今年6月1日〜15日の間に全国の警察が刑事事件として捜査し被疑者を逮捕。これが新聞で報道された事件は、計15件にのぼる。

警察が動くケースは、一部とも思われ、こうした事件はオークションを通じた問題の「氷山の一角」に過ぎない可能性もある。(つづく)
(野田靖)

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