2005.10 無料公開記事    ▲TOP PAGE

企業と個人の調和こそ価値を生む

増田勇●レッドクルーズ代表取締役CEO



 2004年7月に設立したばかりのレッドクルーズ。設立わずか1年ながら、堅実かつユニークなビジネスモデルで、大手・中堅企業を中心に20社弱のRSS展開を支援する。急速な成長を支える原動力となっているのは、企業と個人をつなぐコミュニケーションのバランスを重視する姿勢だ。(聞き手は本誌・島田昇)

"優しい"RSSリーダーは
もう1つのポータルになる

――次世代の情報収集ツールとして「RSSリーダー」が注目されています。

 ネットユーザーの拡大で、ユーザーのチェックしたいサイトは増えてきています。ただ、いくら気になるサイトを「お気に入り」に入れても、数百サイトを毎日チェックするのは無理。サイトの更新頻度はまちまちですし、サイトに行っても欲しい情報がなく、時間の無駄になることもあります。逆に、サイトに行かなかったことで欲しかった情報を見逃してしまうこともある。

 RSSリーダーというのは、そうした問題を解決するためのもので、見たいサイトの最新情報が簡単に手に入る自分用にカスタマイズされたニュースサイトのようなイメージですね。

 我々の提供するRSSリーダー「eクルーザー」では電光掲示板のように最新の情報が1つ1つ流れ、新着情報を一覧することもできます。ユーザーはわざわざサイトに行かなくとも、RSSリーダーを見るだけで「これが更新されたから行ってみよう」というスタンスで情報収集できるようになるのです。

――メールマガジンとの主な違いは何ですか。

 ユーザーにとって"優しい"ということです。

 メルマガでは届いた情報の概要を一覧することはできません。また、個人情報を入れなくてはならないということも面倒くさいし、中には登録の解除がしにくいものもあります。ユーザーは、一度でも登録が面倒だったり、解除の仕方が分からないという体験をしてしまうと、不信感を持ってしまう。ユーザビリティーという観点から見ると、低いと言わざるを得ない。

 一方、弊社が提供するRSSリーダーであればチェックボックスにチェックを付ければその情報は見れて、はずせば見れなくなるなど登録・解除が簡単。ECサイトにしてみれば、個人情報を取ることなく情報が送れるので、情報を発信しやすく、ユーザーも入りやすいし、継続もしやすい。個人情報を入力したとたんにセールスのメールが送られてくるという心配もないので、今の時代のニーズにあった新たなコミュニケーション方法と言えます。

 また、メルマガはロイヤルティーのある程度高い人ではないと登録してくれませんよね。詳細な個人情報を企業に渡さなければならなかったりするわけですから。それがRSSリーダーであれば、「自分のアドレスを渡したくないけれども情報は受け取りたい」という幅広いユーザーに対してアプローチできます。

 ですから、RSSリーダーで幅広いユーザーに情報を届け、ここからメルマガへの登録に誘導することもありですし、メルマガを通り越して直接会員獲得というフェーズに持っていくこともできるのです。また、商品情報を直接流すこともできるので、RSSリーダー上から一気に商品を買ってもらうということも可能です。

利用者の十数倍の閲覧者を巻き込む

――RSSに対する現状の認知度を考慮して、御社ではどのような提案をされているのですか。

 まず、企業が出している情報だけを配信するのではなく、ブログで一般の人が書いている情報も組み入れて配信するという「ブロガーチャンネル」というサービスがあります。くちコミは非常に大事な要素なので、ショッピングでも使えるサービスだと思っています。

 RSSリーダーに流れる情報をクリックすると、一度に画面を2つ表示する「eクルーザーJIVE」というサービスもショッピングとの関連性は高いです。例えば、音楽情報をクリックすると、楽曲の視聴プレイヤーと当該楽曲を販売するサイトを表示するというわけです。

 それと非常にユニークなサービスとして提案しているビジネスモデルとして「ダイナミックシェアモデル」があります。これは弊社のクライアントとなる企業間で抱えるユーザーを、相互乗り入れさせるというものです。

 具体的に言うと、どのクライアントからダウンロードした「eクルーザー」にも、すべてのクライアントのコンテンツが最初から登録されています。中身はすべて一緒ということです。つまり、ユーザーをダイナミックに取り込むことが可能で、拡張性があることが特徴となります。ユーザーとしては、いろんなコンテンツが見られるので楽しいですよね。

 RSSリーダーは基本的に個人情報を取らないサービスなので、継続的に見てもらわなければ困ります。1社のコンテンツだけでは、いくらその企業のファンであるユーザーであっても入手できる情報量としては少ないでしょう。RSSリーダーはブログも読める有益で汎用性のあるエキサイティングなツールなのですから。

 情報を発信する企業としても、自社から「eクルーザー」をダウンロードしたユーザーだけではなく、複数の企業から「eクルーザー」をダウンロードしたユーザーを取り込むことができるのです。

 実際、ログ情報を見ていると、各社からダウンロードしたユーザー数以上の方が、当該企業の情報を見ています。ある企業の「eクルーザー」ユーザーの十数倍のユーザーが当該企業の情報を見ているということもあります。しかも、その数はどんどん増えています。(続きは月刊「ネット販売」にて)
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