2004.5 無料公開記事    ▲TOP PAGE

モバイル競売「モバオク」で巻き返し


DeNA 守安巧社長室長


 ネット競売および仮想モール「ビッダーズ」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA=本社・東京都渋谷区、南場智子社長、URL: http://www.dena.ne.jp/)は4月1日から、携帯電話向け情報配信大手のインデックス(本社・東京都世田谷区、小川善美社長、URL: http://www.indexweb.co.jp/)と共同で携帯電話サイトに特化したオークション事業を開始した。

DeNAとインデックスは昨年11月末に資本提携を結んでおり、共同での事業計画の方向性が注視されていた。

これまでネットに軸足を置いた事業展開を行ってきた同社。

今回のモバイル事業の先にある狙いとは何か。

5月をメドに新設するモバイル事業部のトップに就任予定の守安巧社長室長に今後の戦略を聞いた。


モバイル事業部を新設

 

――これまでの競売および仮想モール事業はパソコン(PC)上で行ってきたました。ここにきて携帯電話に着目した理由は何ですか。

 

 EC自体はまだまだ成長期でこのまま事業を継続しても、一定の売り上げの伸びは維持できると思います。

 

ただ、安定的に成長力を保つためにはもう一つの収益の柱が必要です。今年中にスタート予定のネット販売サイトの支援事業とともに携帯電話にも着目しました。当初は自社単独の事業化も考えましたが、やはりゼロから構築するよりもすでにその分野で先行する企業とアライアンスを組んだ方が、効率的ですし事業開始までの時間も短縮できます。

 

そのため昨年、インデックスとの資本提携を結びました。今後、45月をメドに現在、社長室の中で行っている携帯電話に関する事業を『モバイル事業部』として新設し、本格的にモバイル領域での事業拡大を行っていきます。

 

出品率は「ビッダーズ」の3倍

 

――その第1弾がモバイル競売事業ですか。

 

 そうです。昨年1112月くらいからグループインタビューやテストなどを繰り返し、ユーザビリティーには強い自信を持って開始することができました。

 

多くの企業はPCとモバイルを連動させた事業を行っていますが、現状ではどこもあまり成功していないように見えます。それは両チャネルのユーザーが全く別の層だからです。明らかにPCは全く使わないが、携帯電話は使いこなしている層がおり、その数は若年層を中心に非常に多い。中古品の個人間売買の抵抗感はネットオークションの普及などもあり近年、薄れつつあると認識しています。

 

ですから『携帯電話のみを使っている層』でも需要というのは必ずあるはずです。まだ本格的なプロモーションは行っていませんが「モバオク」の出足も順調です。特に、会員登録後に出品する割合が非常に高いことには驚いています。「ビッダーズ」と比較するとその率は3倍近くは高い結果となっています。

 

――その要因は何ですか。

 

 要因は3つあると考えています。「ビッダーズ」の場合を考えると出品にはクレジットカードの番号か、ネットバンクの口座番号を認証として使用しています。それがモバイル競売では必要ないこと。

 

またPCで出品する場合、デジカメを持っていてなおかつ、(PCに)つながなければいけませんが、携帯電話にはデジカメ機能がほとんど標準装備してあり、そういった手間はないこと。最後にPCでは出品時に20数項目の質問や選択をしなけばいけませんが、「モバオク」では出品商品のカテゴリー選択など5つの項目だけで出品できます。こういった点が出品率を高めていると思います。

 

「モバオク」は投資事業

 

――「モバオク」では入会、出品は無料です。収益源は何ですか。

 

 この事業に関しては投資事業だと思っています。まずは会員やトラフィックを集めて、一定の数になった時点で広告枠の販売を始めようと思っています。

 

――会員数や売り上げの見通しは。

 

 初年度で25万人の会員数を想定しています。広告は7万人の会員が集まった時点で開始したいと思ってして、売り上げは初年度で億単位はいけると思っています。4月中には携帯2キャリア(ボーダフォン、KDDI)で公式サイト化することもあり、無理な数字ではないと認識しています。

 

――今後の計画は。

 

 夏にも「ビッダーズ」のモバイルサイトを作る予定です。まだ、完全に決まってはいないですし、現在のシステムで対応できるか分かりませんが、PCの仮想モールでの販売機能(競売、固定価格販売、共同購入、懸賞)をそのまま携帯でも実現しようと思っています。

 

当然、公式サイト化に向けても動いています。パケット通信料金が定額制になりつつあるという追い風もあり、当面はモバイル競売事業「モバオク」の拡大を中心に、ほかにも積極的なモバイル事業をスタートしていきます。

(鹿野利幸)

▲TOP PAGE ▲UP