2004.12 無料公開記事    ▲TOP PAGE


“売れる”モバイルコマースサイトの作り方
「ポイントは“携帯完結型”のサイト作り。メディア連動はその次」


バンダイネトワークス eビジネス事業部
守屋英一郎部長



 自社通販サイト(パソコンとモバイル)のほか、マツモトキヨシやファンケル、ソニープラザ、プライムなど他社のモバイルサイトを多数運営するバンダイネットワークス。昨春に開設したアパレル販売サイト「ラブバーゲン」は開設直後から、昨秋に立ち上げたブランドバッグ販売サイト「海外ブランドセール」は開設半年後には月商1億円を記録。今年5月以降は上記の4社のサイトを相次いで立ち上げ、モバイル通販のノウハウ構築を急速に進めている。トップで指揮を執る守屋英一郎eビジネス事業部部長に、モバイルコマースサイトの効果的な集客方法や購買に誘引する仕かけを聞いた。

Q:モバイルサイトへの集客に効果的な手法は何でしょうか。

A:雑誌やテレビなどとの連動、他のモバイルサイトとの連動などがあります。ただ、販売する商品によって集客効果は異なります。

例えば20歳前後の女性をターゲットとしたアパレルのサイト「ラブバーゲン」は、雑誌数誌に広告を出稿しているため新規客の多くは雑誌経由。「海外ブランドセール」「プライム365.TV」「ファンケルモバイル」はキャリアが実施しているメール広告「メッセージフリー」を試したことがあり、クリック率15%という結果が出たこともあります。

「プライム」の手法は主軸であるテレビとの連動です。今年9月から、テレビ番組の間にモバイルサイトを告知するCMを流したり、番組でもテロップを流しました。「ファンケル」の場合、新規客は公式メニュー経由、もしくはカタログとの連動が多いです。6月の公式サイト化後は新規客が増加し、公式サイトの「コスメ」カテゴリーで1位を獲得しました。

Q:商品ジャンルを問わず、新規ユーザーを集客するポイントは。

A:商品にもよりますが、サンプル提供やキャンペーンの展開、低価格での提供など「まずは買ってね」とサイトの中に入る仕掛けを作ること。

 例えば「ラブバーゲン」は、ユーザー間で認知度の高いアパレルブランドを扱っていて、ユーザーは自分の好きなブランドを「目的買い」します。ですので、サイトに入ってきて「すぐに安い!」という見せ方をするのが効果的です。

一方、「プライム」や「ソニープラザモバイルサイト」は多くの種類の商品を扱っているため、1つ1つの商品名をサイトで紹介してもユーザーは商品内容がわからない。そのような場合はユーザーの目を引くような特集を組み、まず買ってもらう仕掛けを設けます。衣料品の場合はSKU(在庫最小単位)が多くて複雑ですし、商品画像をよく見ないと買えません。価格訴求はあまり通用しないので、雑誌など紙媒体との連動が効果的でしょう。しかし、画像の性能がより高まり、パケット定額制が浸透すると商品画像をじっくり見ることができるので、この方法は変わるかもしれません。

キャリアのメールは1日1万人、
QRコード、「普及はまだ」


Q:キャリアが配信するメールの効果はどうでしょうか。

A:“iモード”には「週刊iガイド」に掲載されたときはアクセス数がぐんとアップしました。1サイトで1日1万人集客できた実績があります。これは広告費が不要で、ドコモ側が掲載するサイトを抽出してくれます。

Q:「QRコード」(注)の集客効果は?

A:今のところ、ほとんどありません。先日、ファンケルで新聞広告を打ったときにQRコードを掲載しましたが、反応はあまりよくなかったですね。QRコードに対応した機種がまだあまり普及していないという環境もありますし、対応機種でもアプリケーションの起動に時間がかかり、結構面倒です。印刷会社にとっても、誌面や広告の原稿の上にコードを改めて印刷する必要があるなど結構複雑な事情があるようです。

Q:モバイル間の相互リンクは?

A:当社は、これらのショッピングサイトと、着信メロディや待受画面など自社の有料コンテンツをリンクさせています。自社の有料コンテンツのユーザー数が多いこともあり、有料コンテンツからショッピングサイトへの送客が多く見られます。

 ただ、これらの相互リンクは同じコンテンツプロバイダー内でしか行えません。当社は複数のサイトを同時に運営しているため相互リンクが可能になるのです。
雑誌やテレビ、相互リンクなどいずれの方法で集客するにもモバイル完結型のサイト作りが重要です。そして次に、そのサイトの中で、商品に適した、買わせる仕組みの構築がポイントになります。
(峯木多恵子)

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