2004.12 無料公開記事    ▲TOP PAGE

通販カタログ廃刊でネット通販に本腰

――ユニクロ



 ファーストリテイリング(本社・山口市、玉塚元一社長、URL:http://www.uniqlo.com/)がネット通販サイトへの集客を強化している。これまでユニクロの通販事業はカタログとネットの2つのチャネルで展開してきた。ただ、実店舗の拡大に伴い、従来、主なカタログ通販顧客だった店舗のない空白地域の売り上げが減少。一時のピーク時と比べ、レスポンス率も激減。9月発行の秋冬号を最後に通販カタログの廃止を決めた。

 今後、ユニクロはネット一本で通販展開を進めていく。これに伴い、今夏からこれまで実施していなかった通販サイトへの集客策を積極化。また、店舗で配布する印刷物からの集客策も積極展開している。今期末には前期比倍増の100億円の売上高獲得を目指し、ユニクロがネット販売に本腰を入れ始めた。

初の「ヤフー!ジャパン」対策

 費用対効果からこれまで通販サイトへの集客を店舗やカタログ、チラシなど自社媒体を軸に進めてきたユニクロ。もちろん、こうした施策は継続させるが、今夏から初と言えるネット単独の集客に着手した。ヤフー対策だ。

 8月から「ヤフー!ジャパン」の検索結果に連動するリスティング広告「スポンサードサーチ」(オーバーチュア)を開始。また、10月には「ヤフー!ジャパン」のトップページへバナー広告を出稿した。「当たり前の手法に見えるが、当社にとってこうした外部からの集客策は初めてといっていい。それだけ、今期は本気だということです」とネット担当者は話す。

 他にも11月からアフィリエイト・プログラム(成果報酬型ネット広告)を導入。三井物産が運営するアフィリエイトサービス「リンクシェア」を採用し、外部集客を強化している。
 
QRコードでモバイル集客も

 また現在、ネット通販売り上げの約10%(約5億円)を占めるモバイル通販も強化する。ユニクロは8月から、ネット通販で展開している小さめや大きめの、いわゆる特別サイズの対象商品を大幅に拡充。今秋冬商品では6割にあたる180アイテムを特別サイズの対象商品とし、ネットおよびモバイル通販で展開している。

こうした通販サイトならではのサイズ展開をアピールすべく、9月から店舗店頭に「小さめのサイズも、大きめのサイズも、選べるようになりました。」と記述した名刺大の専用カードを設置。「インターネット店、モバイル店でこれまで無かったサイズが選べます。」として、右上にはモバイルサイトにアクセスできるQRコードを添付した。

こうした特別サイズをアピールした手法は新聞折り込みチラシ上でも10月配布分から記述。また、店舗の商品下にある価格欄にも同様の文言とQRコードを添付した。

外部集客の積極化と、売場面積の都合で店舗では展開できない幅広いサイズ展開、1部の店舗でしか販売していない特別商品、また店舗投入前の先行販売商品というMD面の両軸で「ネットだからこそ」という新たな切り口を模索。今期売り上げ100億円という目標に向かい、店舗の補完に過ぎなかったユニクロの通販事業が、独り立ちへと歩を進め始めた。
(鹿野利幸)

▲TOP PAGE ▲UP