2004.11 無料公開記事 | ▲TOP PAGE |
――月間のユニークユーザーが今年3月で1000万の大台を超えました。その要因はなんですか。 月間のユニークユーザー数で言えば、8月実績では1100万。9月はまだ集計中ですが、1200万に迫るところまで来ています。このため、当社は現在、広告がメーン事業ですが、その売り上げもかなりの勢いで伸びています。その要因はユーザーにとって当社の情報が役立っているというベースの部分に加えて、5年前にサイトを立ち上げる際に、ある程度、現在の状態、つまりブロードバンドの普及や、検索エンジンの台頭を予想したサイト設計なりビジネスモデルもトラフィックの増加に寄与していると言えます。 当社は特定の情報、例えば「ノートパソコン」や「サプリメント」などに詳しい専門家をガイドとして抱えています。現在、17分野300強テーマで約300人のガイドが「この分野なら、このサイトが良い」という「おすすめサイト」を紹介し、これに加えて、オリジナルの記事を書いています。記事はデータベース化しています。インターネットではこれまで最新情報、最新情報でしたが、こうした部類の生地は過去記事でも価値が落ちないからです。 こうした知恵袋的にたまってきた記事は検索エンジンやブログに引用されやすく、横に直接入ってきて、ユーザーのニーズに引っかかるというトラフィックも多いです。 そういう意味では検索ニーズの拡大がユーザーの増加に寄与していると思います。実際、1200万人弱のユーザーのうち、約45%は検索やポータル、最近ですとブログ経由で直接、外部から入ってきます。 ただ、やはりコンテンツが良くなければ、一度「オールアバウト」に来ても、トラフィックはすぐに落ちるはずです。コンテンツ力の充実と、外部環境を見越した設計がマッチしたということでしょうね。 ――「オールアバウト」の情報がユーザーに支持を集める要素とは何ですか。 もちろん、ネットの熟練者にもご利用頂いておりますが、「オールアバウト」のユーザーの大半はネット経験の少ない「普通の人」です。ユーザーから見ると、我々は「裏取り」できるサイトという位置づけなのだと思います。 ネットで買い物なりサービ受けようと考えているユーザーの動きは、まず、「取っ掛かりとなる情報」を調べ、その情報の真偽など確かめる「裏取り」をして、「比較検討」し実購買に至ります。 この場合、最初に調べる部分は「ポータル」。詳しく調べる部分では、くりコミ系サイトや掲示板です。そこで裏を取って、価格比較とか、物件比較が必要な場合には「イサイズ」とか「カカクコム」に行く。こういう3段階の形ができているような気がしています。 ただ、ITリテラシーが低い普通のユーザーにとっては、2番目の部分が非常に困難と言えます。玉石混交もネット上の情報の良し悪しを見分けるのが困難です。オールアバウトは顔が見える専門家の信頼性の高い情報で「裏取り」ができます。匿名性の高い“誰か”の情報ではなく、顔が見える専門家の中立性、信頼性が高い情報と言う点がご評価を頂いていると自負しております。我々は信頼できる「裏取り」情報の場であり、「普通の人」にとって安心感を与えることができることが大きいと思います。 「ながら利用ユーザー」に訴求可能 ――「カカクコム」に代表される比較サイトとどう違うのでしょうか。 多くの領域でITリテラシーは高まっていません。多分、インターネットユーザーの中で、本当にITリテラシーの高い方、掲示板を使い倒し、情報を取捨選択しできるユーザーはあまりまだ多くないと思います。先ほども申し上げた通り、ネットの熟練者であれば、使いこなすことはできますが、ITリテラシーの低いユーザーにとっては非常にそうしたサイトで情報を取るというのが難しい状態です。多くの掲示板は個人がその人の声として書き込みという形で発信しており、その真偽はある程度の知識を持つユーザーではないと難しいからです。 一方、我々は専門家が情報をまとめていますから、我々はそこまでリテラシーの高くない方々も、各分野のエキスパートで顔も出していて、バックグラウンドもわかっている専門家の情報がありますから、安心できますよね。これが大きな違いなのではないでしょうか。 もう1つの違いは「裏取り」とは違う流れで何か目的なり、買いたい商品が決まっていているのではなく、「何か面白いものがないか」とコンテンツ自体を楽しむ「ながら利用ユーザー」に訴求できるという点です。 実はすごく伸びてきているのが、「テーマ切り」ではない「ライフスタイル切り」に作ったコンテンツです。例えば、35〜40代のエグゼクティブ志向のちょっとこだわる男性というのを読者想定として、専用コーナーを設けています。オールアバウト内の様々なガイドが参加してテーマを横断し、読者オリエンテッドで特集を組むものです。 こういうものを楽しむユーザーがどんどん増えています。こういう部分は別に商品を買いにくるわけではありませんし、調べにくるわけでもなく、楽しんでいるわけです。 この特集の中に広告を入れることもありますが、反響は非常に高いです。ネットは単なる便利な道具ではなくて、「ああ、そんなこともあったのか」という驚きだとかが重要なのではないかなと思っています。そういったことを我々は演出できる力を持っていますし、これが実は今後の方向性の源泉だろうと考えています。 今年は事業多角化進める第2創業 ――今後の方向性とは何ですか。 ガイドテーマ数というのは、この2年くらいそれほど、増やしていません。それで、1200万ユーザーを集めるところまでトラフィックが伸びました。つまり、テーマ数を増やせばトラフィックをもっと伸ばすことは可能です。 一応、ユニークユーザーは1000万を超えるまでは、テーマも増やさず、社員も増やさず、しっかりとガイドをマネジメントし、良いコンテンツを作り、広告事業をきちんと成り立たせることに特化していました。 今年3月にその大台を超えました。そのため、この4月から「第2創業」としてガイド数の拡大や、広告事業以外の事業の立ち上げの準備にも入りました。今までも攻めていなかったわけではないのですが、これからは「攻めのモード」に入っていきます。 ――その一環だろうとは思いますが、9月にヤフーと資本提携を結びました。目的は何なのでしょうか。 大きく3つのポイントがあります。1つは双方のメディアの強化、簡単に言えば、トラフィック拡大ということです。おかげさまで我々の情報コンテンツは高い評価を頂いております。それをヤフーのユーザーにとって、利便性が高まるような形で、ユーザーの視点に立った形でうまくご案内できればと考えています。 もう2つめは広告事業です。ヤフーの広告は特にトップページの広告を中心とした何百、何千万人にリーチするリーチ系広告が強く、逆に当社はコンテンツ的には雑誌に近いのでターゲッティング広告がメーンです。ただ、広告主は同じだったりするわけです。ならば、より相乗効果が出るような広告商品の開発をしましょうということです。現在、ヤフーとの話し合いを進めており、できれば年内には何か1つくらい形にできればとは思っています。 3つめは新たな事業領域で協業できないかという部分です。例えば、ショッピングもその1つです。ヤフーはショッピングをモール型で展開しています。一方、我々はガイドを持っています。ガイドとはショッピングで言えば商品をお勧めできるレコメンダーです。 「ヤフー!ショッピング」はいわばインフラのようなものですから、ユーザーはショッピングの際、価格比較で商品購入を決める方が多いと思いますが、我々は「心買い」、つまり、「この人が言っているんだから、買ってみよう」という世界観による訴求ができます。価格コンシャスではなくて、世界観に共感して訴求するような。「目的買い」ではないある種、「ライフスタイル買い」ですね。 ――「ヤフー!ショッピング」内の商品にガイトのレビューを付けたり、逆にガイドが薦める商品をヤフー経由で買えたりすることでしょうか。 そういうことです。これはまだ正式決定はしていないのですが、当社、ヤフー双方ともプラスアルファーのところを開拓できるはずです。 ただ、我々も「オールアバウト」の新規事業としてショッピングを検討しています。我々はモール型ではなくて、我々が選んだ商品をユーザーに提案する形でセレクトショップ的に展開しようと思っています。 当然、すべての商品を網羅するという方向ではないですから、それ以外のジャンルに関しては、ヤフーさんにはショッピングコンテンツを供給してもらう形になるのかもしれません。 ――今後の戦略を教えてください。 ユーザーのプロファイルでいうと37歳が平均で、メーンターゲットは30〜40代です。今、注目しているのは「団塊世代」と「団塊ジュニア」。55歳以降の「団塊世代」のネット利用はますます増えていきます。お金もありますし、自分の生活を楽しむ術を知っています。あとはその子供たち。31、2歳と27、8歳ですね。 現在はその間の「ハナコ世代」と呼ぶ30後半から40歳の購買力が旺盛で消費を引っ張っている層を中心にメディアを作成していますが、戦略ターゲットとして「団塊世代」と「団塊ジュニア」を乗せようとしています。 先ほどの「ながら利用ユーザー」を喚起していく提案型として、それぞれの世代にターゲットする広告、また、人生のテーマで切るもの。また、従来の300のテーマでターゲッティングする広告。3通りの入り口で進めて行きたいと思います。 ――今後、アグリゲーター(特集1参照)と呼ばれるサイト群はどのように変化していくと思いますか。 現在は専門店化している傾向にあります。普通の人が普通に使えるようにまだまだ改善できる余地がたくさんあると思うんですね。そうした普通の人たちが、使い勝手だけでなくて、安心感とか、共感とかを含めたお気に入りの情報源の奪い合いになっていくのかなと思います。 その時は、機能だけでは駄目で、ブランドなり、そのサイトを使う自分が好きというエモーショナルな部分がないと、メジャーにはなれないと思います。ヤフーとの提携はその目的もつよいです。「○○と言えば、オールアバウト」のような市場認知と、消費変化というか、単なる比較だけでははい共感を生むような仕掛けが必要になるのではないでしょうか。 |
▲TOP PAGE ▲UP |