2004.10 無料公開記事 | ▲TOP PAGE |
――ID統合で「旅の窓口」会員の楽天会員移行を実現。楽天に移行すると、仮想モール「楽天市場」のポイントが付与され、同モールで仮想通貨として利用可能になった。 作業が多少面倒なため、当初はそれほど多くの方が移行するとは思っていなかった。しかし、現在(8月20日時点)の宿泊予約件数の6割が楽天会員という状況になった。 ――新「楽天トラベル」にサイトを一本した。今後の最優先課題は。 「旅の窓口」はビジネス利用が強いが、ブランド変更を契機にレジャー利用を強化する。 具体的にはページ上の表現力を向上させる。これまでは宿泊施設ごとの“運営者の顔”や施設の良さが分かるページというより、情報が中心のページだった。店舗や施設ごとに自分たちの良さをアピールできるという楽天のシステム上の思想を、新「楽天トラベル」にも反映させる。 施設との“対話”も強化する。これまでは首都圏を除く地方は代理店制度を取っていたが、6月に廃止した。全国で現地に合計20人弱の営業を採用し、カバーできていない地方施設との対話ができるようになった。今後は「ファミリー向けプラン」などレジャー向けプランも増やす。 グループの強みで“棲み分け”可能 ――施設の空き部屋は大手旅行代理店が大半を押さえている。レジャー強化には業界構造も壁になる。 統計的な数字は分からないが、それは確かにある。JTBなど大手旅行代理店が“売ってくれる”ためだろう。しかし、宿泊予約は明らかにリアルからネットにシフトしている。理屈で考えれば、未来永劫にそういう状況が続くわけではない。 理屈で考えられない面もある。「なぜ大手旅行代理店に多く部屋を用意するのか」と施設の担当者に聞くと、「よく分からない」という答えが返ってくる。要は、大手旅行代理店は施設と密な関係を構築しているため、“しがらみ”があるということだ。 ――大手旅行代理店に対抗するには、20人弱の営業では頭数が少ない。 その辺は様子を見ながらだ。手数料もリアルと比べ破格な6%でやっている。しかし、都心部のホテルは明らかに我々へシフトしている。 ――都市部のホテルには、ネットの好調を受けて最低価格は自社サイトだけで提案する動きも出ている。 日本は米国のように世知辛くはないと認識している。指名的にホテルのサイトに直接行く利用者もいるが、我々のサイトにその都度、割安の料金を求めて訪れる利用者もいる。 料金の問題は明確な決まりはなく、施設が自由に決められる。しかし、我々のネット利用者にとって不利益と感じられる状況が顕著になってくれば、何らかの対応は考える。 ――経済産業省の調査によると、約500の宿泊施設のうち200施設が自社サイトでサービス展開している。 仮想モールの店舗の巨大化で、巨大店舗が独立していくという「楽天不要論」は、昔からある。しかし、「楽天市場」の業績は好調に推移しており、店舗数も拡大している。 「楽天トラベル」で予約すればポイントが付き、今後は航空券も取り扱う。棲み分けはできる。 雑誌参入、「考えてはいる」 ――レジャー利用のネット宿泊予約で「じゃらんネット」(リクルートが運営)が強いのは、雑誌連動があるためだ。紙媒体への参入は。 当然考えてはいる。ただ、ネット宿泊予約の急激な増加で、紙媒体の需要は下がっている。施設の中には紙媒体の「じゃらん」の効果は非常に落ちていると指摘する声もある。 参入コストも膨大だ。ネット業界で染み付いたコスト感覚も、二の足を踏ませる。現時点で参入するか否かは見極められていないが、大きな問題だと認識している。 ――現時点ではどう判断する。 ユビキタス社会化も後押しし、最終的には相当数がネットで宿泊予約を完結するだろう。紙媒体だけで予約は完結しないし、情報の探しやすさや量も、ネットが圧倒している。 |
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