2003.9 無料公開記事    ▲TOP PAGE

ネットでの医薬品販売に落とし穴

――小林製薬グループ


ネットでの医薬品販売に落とし穴――。

 小林製薬(本社・大阪市中央区、小林一雅社長)のグループ企業で医薬品などをネット販売する創快ドラッグ(本社・大阪府茨木市、長沢成夫社長)が、副作用などへの懸念から通販が許可されていない「かぜ薬」や「解熱鎮痛剤」などの医薬品を多数販売していることが分かった。

事実を把握した大阪府薬務課では、小林製薬にこれらの医薬品の販売を止めるよう行政指導を行う方針だ。医薬品の流通の新しい形として注目された同社だが、規制の壁にあたった格好。

 一方で製薬会社の看板を抱える同社グループが、許可の範囲を超える製品を販売を行っていたことには批判が集まりそうだ。

 医薬品のネット販売について、行政側は八八年に厚生労働省が出した「医薬品の販売方法について」とする通知に準じた考え方で規制。この通知では、本来、医薬品は薬剤師を介した販売が基本だが、免許取得や薬剤師の配置などの条件を満たしたうえで、安全性の問題が少ない八つの薬効群の販売を認めている。ここでは「解熱鎮痛剤」「せき止め薬」「鎮静剤」などは除かれている。 

 一方、創快ドラッグは、示された範囲外の薬を数多く販売、問題となった。この事実は東京都が七月下旬に把握。取り締まりの権限を持つ大阪府薬務課にこの情報を伝えたもの。大阪府ではこれを受け、小林製薬側に行政指導を行うことを決めた。 

 こうした医薬品を販売した経緯について、小林製薬では取材に対して@大阪府薬務課に確認を行ったA二〇〇〇年十月に厚生労働省が出した通知で、前述の八薬効群以外の医薬品販売がただちに薬事法違反となるものではない≠ニされているB薬剤師二十四時間体制で相談が可能――の三点を論拠にあげている。 

 しかし、大阪府薬務課では、「(小林製薬側が)担当官のコメントを拡大解釈している可能性がある」(医薬品流通グループ)としており、また、厚生労働省も「医薬品のネット販売については、安全性の確保から基本的に好ましいものとは考えておらず、八薬効群以外の製品の販売は認めていない」(医薬食品局総務課)。 

 また、小林製薬が販売の2点目の論拠にあげる2000年の通知についても「何らかの理由で範囲外の医薬品を少量売った場合に、ただちに薬事法違反とするものではないということで、ネットなどで常に範囲外の薬を売ることは問題」(同)と話している。 

 一方、ネットで通知の範囲外の医薬品を販売するケースは、このほかにも多数みられるのが現状。東京都ではこうした場合「必ず行政指導する」としており、強い姿勢で取り締まりにあたる方針だ。(野田靖) 


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