2003.7 無料公開記事    ▲TOP PAGE


優良顧客囲い込みでコンバージョンレート向上へ

「固定ファン作りに注力」

――ソニースタイルドットコム・ジャパン



「今後は“ファン”を中心とした事業展開を図っていく」――ソニーマーケティング(本社・東京都港区、小寺圭社長)のネット販売関連部門のソニースタイルドットコム・ジャパンカンパニー(URLhttp://www.jp.sonystyle.com/)は今春から優良顧客を強く意識した事業展開を本格化した。ユーザーの購買データをRFM分析し、数値化した独自の指標「Star」をもとにした優良顧客へのアプローチだ。こうした“ファン”をキーワードとした事業展開を通じ、固定客を掴み「現状は数%台」(リレーションマーケティング部・石井隆雅総括部長)というコンバージョンレートの向上を図る。

優良顧客には何らかの特典を

「サイト立ち上げから3年間で約2,000万円近い商品を購入頂いたユーザーがいる。こうした大切なコアユーザーには何らかの特典が必要」(石井部長)――ソニースタイルは今年3月末、ノートパソコンの新機種「バイオノートU101」を発売した。大量の受注を想定し予想販売台数を上回る数量をあらかじめ確保していたが、その予想をさらに上回る受注を受け、ネット販売サイトにアップ後、数日で完売する結果となった。「特にコアなユーザーからは『出し惜しみか』など大変な反発を買った」(石井総括部長)という。

こうした批判を受け、昨年からも一部開始していた独自の優良顧客を表す指標「Star」をもとに、翌4月に発売した同じく新機種「バイオノートTR」では「Star」のポイントが高い優良顧客に絞った特別オファーを実施した。

「Star」とは顧客の購買履歴を購入金額、購入回数、イベントなどへの参加頻度別に数値化。「Star」の数値が高いユーザー順に生産数の少ない製品の優先予約や新商品のモニターなど“特典”を付与するものだ。この「Star」をもとに売り上げに貢献度の高いコアなソニーファンとの接点を高めることが狙いだ。

ソニースタイルは昨年2月のソニーマーケティングとの合併以来、関連グループのサイトからの送客が増加し、これまでと比較にならないほどのアクセス数に達している。それはユーザーが店舗で買う前などの価格の下見などカタログ的な意味合いでのアクセスも含まれるからだ。

最終消費者とソニーとの直接的な繋がりの強化を目的とするソニースタイルとしては「当社サイトがカタログ的な役割だというのはソニーグループ全体の当社の位置付けとしては成功」(石井部長)とはいうもののその分、コンバージョンレートは伸び悩んでいるという。なぜなら「ソニースタイル」で購入すべき価値をユーザーが見出せないためだ。

今後は同じく今春から開始した一部商品(受注生産などのカスタムPCなど)での電話受注の対象商品拡充や量販店内にリアル店舗を設け、ファン作りを中心とした事業展開を進め、ソニー全体のCRM機能と、「ソニースタイル」としてのサイトの付加価値を高めていくという。
(鹿野利幸)


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