2003.2 無料公開記事 ネット販売2003.2

特別インタビュー

ネット販売売上高 130%増の60億円に 携帯受注が奏効
ジャパネットたかた 高田 明 社長



ジャパネットたかた(本社・長崎県佐世保市、高田明社長、URL:http://www.japanet.co.jp/)のネット販売が好調だ。前期(2002年12月期)のネット販売売上高は、前期比130%増の60億円程度に達している模様。メディアミックスによるネット受注の入り口拡大などが奏効した。今後はブロードバンドの普及などを見据え、さらにネット販売経由の受注増を見込む。高田社長に聞いた。
(聞き手は本社常務取締役主幹・青木 実)


携帯電話、非常に重要な存在に
――前期(2002年12月期)のネット販売売上高は、前期比で2倍超の60億円に達しているようですが、要因は。

前期はネット販売の環境を変えました。まだNTTドコモの「iモード」だけにしか対応していませんが、携帯電話からのショッピングをできるようにしました。カタログ請求については全キャリアに対応しています。
パソコン経由でもテレビやラジオで紹介している商品を買えるようにしました。このようにパソコン経由での注文が可能な商品を増やしたことで、利用者の閲覧やネット販売目的の利用が増加。ジャパネットたかたのホームページのアクセス数を押し上げ、売り上げ拡大に結びつきました。
――携帯電話経由とパソコン経由の受注比率は
携帯からの受注はまだまだです。しかし、1日に300万円の注文があることもあります。わたしとしては以前まで、限りなくゼロに近いと考えていたので、満足しています。そのため、携帯端末上での見せ方やアクセスしてもらうための手法などを研究している最中です。今後は非常に重要な存在になってくるのではないでしょうか。

企業の方向性を重視
――Eメールマーケティングについてはどのような展開をされていますか。

今はお得な情報やイベント情報などを掲載したメールマガジンを週2回のペースで配信しています。メールアドレスもホームページへのアクセス数の増加と同様順調に増えてきているので、今から2〜3年かければ、Eメールを使った顧客とのインタラクティブな関係を築けるサービスも展開できると期待しています。
――ネット広告についてはどのようにお考えですか。
ネット広告はやっていません。あんまり色々なことはやりたくないということもありますし、企業の方向性をどのように位置付けるのかということも重要視しています。
例えば、当社のサイトにリンクを張らせてくださいというお声もあるのですが、それは一切やっていません。広告収入が増えるというメリットもあるのでしょうが、それをやるからにはそれ相応の責任も発生します。ですから、慎重にならざるを得ません。ただ、それは今後の課題の1つには挙げられると思います。
――ネットオークションの状況はいかがですか。
タイムセールとオークションをやっていますが、お客様からの反応はいいですよ。
――アクセスが集中するから大変そうですね。
それ以外にも、今はカタログの請求などでアクセスが集中しています。ですから、サーバーを増強しなければならないという問題が頻繁に起こります。ですが、サーバーの増強は切りがありません。こうした一時的なアクセスの集中に対してどのように対応するのかは大きな問題で、色々と研究をしています。

動画配信は難しい
――SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれる集客の手法についてはどのようにお考えですか。

色々と若手が研究していますが、それは今年からの課題です。
ブロードバンドの動画配信技術と中継車を組み合わせ、名産品を産地から紹介し販売するというようなこれまでにないショッピングの提案も考えています。
ただ、インフラはまだそれを実行できるまでには整っていません。発信側の環境が整っていても、受け手側の環境が整っていなければ無理だからです。また、先ほどお話したブロードバンドのショッピング提案をいつから、どのくらいのレベルから始めるのかということも大きな問題です。
――ブロードバンド通信の環境は急激に普及しています。
急激に普及していますね。1年後にはビックリするくらい変わると思います。特にADSL(非対称デジタル加入者線)の伸びはすごくて、ブロードバンドを利用した各種サービスの普及は、一気に広がると思います。
――ブロードバンドというと動画配信のイメージが強くあります。
ただ、動画配信はなかなか難しい。配信コストの問題があるからです。インターネットはまだ、テレビのように1,000万人の人が見ているようなものではないので、莫大なコストをかけるだけの費用対効果が望めるとは思えません。
インターネットのブロードバンドユーザーが何千万人だとか、地上波デジタル放送の普及などが進んでくれば、やる価値は十分に出てくるでしょう。そういった状況になるまでは後2年以上はかかると思いますが。

ライブが一番いい
――いずれは地上波デジタル放送の開始などに伴って、テレビとインターネットは融合していきそうです。

我々はそういった状況に備えなければならないでしょう。しかし、今は1年先でも予測することが難しいので、十分に情報収集と研究を重ねる必要性があります。
――東経110度CS(通信衛星=新CS)デジタル放送についてはどのようにお考えですか。
まだ分かりません。ただ、コンテンツ的にも視聴者の数にしても、まだまだという印象はあります。一方、ここにきてBSデジタル放送は3年目にして視聴可能世帯数が大きく増えているようです。
――御社にも新CSのプラットフォーム運営企業などから参加のお願いがありそうです。
そうでもありません。まだそれほど重要視していませんが、かといってゆっくりもしていられないんで、そこの部分は研究していきたいです。
――地上波のテレビ通販ではライブ展開を増やしていくんですか。ブロードバンドが普及すれば、ネットでの展開も考えられると思います。
増やしていきたいと思っていますし、ライブが一番いいですからね。ライブは“旬”ですし、(受注件数増加の)効果も大きいです。

●今期は緩やかな増収増益
――今期(2003年12月期)の見通しは。

現状のプラスアルファという意味で増収増益は狙います。ただ、それは緩やかなものでいいと考えています。売り上げを追って荒っぽい経営にはしたくないからです。それよりも内部組織の強化および収益の改善を図っていきたいと思います。
――具体的な売り上げ目標は。
全社の売上高では前期比15〜20%増の720〜750億円を目指します。

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