2002.12 無料公開記事 ネット販売2002.12
WEBトピックス
 
売り上げ拡大策で“自社サイト外”にも熱いまなざし――楽天
 
楽天(本社・東京都目黒区、三木谷浩史会長兼社長、URL:http://www. rakuten.co.jp/)が仮想モール「楽天市場」への集客と顧客の囲い込み強化に乗り出した。他社サイトとの連携とポイントプログラムの導入を柱としたもので、出店舗の売り上げ拡大を支援したい考え。楽天はこれまで、同グループ内完結型の展開が主力だったが、両サービスは“外”との連携が重要な施策。従量制課金への移行を無事に済ませた同社は一転、外部連携も強化していく模様だ。
 楽天は10月28日、メガコンソーシアムを推進するKDDI(東京都新宿区、小野寺正社長、URL:http://www. kddi.com/)、日本テレコム(東京都中央区、ウィリアム・モロー社長、URL:http://www.japan-telecom. co.jp/)、日本電気(NEC=東京都港区、西垣浩司社長、URL:http://www. nec.co.jp/)、松下電器産業(大阪府門真市、中村邦夫社長、URL:http:// www. matsushita.co.jp/)とネット販売事業での連携について合意したと発表した。
 KDDIなど4社が持つISP(インターネット接続業者)会員は約1,000万人で、12月初旬から同会員に限定した「シークレットセール」などショッピングコンテンツのプロモーションを行う。共同プロモーションサイトを活用した楽天市場出店者への広告スペース提供、決済サービスの共通化も検討する。
メガコンソーシアムはISPなどネット関連サービスを手がける企業で構成されており、コンテンツの相互活用などが検討されている。5社は今後、5社以外にも積極的にサービスへの参加を呼びかける方針だ。
今回の提携は、NECなどメガコンソーシアムの幹事会社から楽天に提案して実現したとされる。ただ、提携は小幅な協力にとどまっているが、今後さらに緊密なサービスを展開するためには、楽天サイドがどれほどメガコンソーシアムとの関わりあいを重要視しているかにかかってくる。
 これについて三木谷社長は「既に(ISP4社に)今後の可能性について積極的に提案している」としており、協力関係は今後一段と強化していくものと思われる。最終的にはメガコンソーシアムにおけるEC分野の中枢を楽天が担う可能性もないとはいえない。
 さらに楽天は11月1日から「楽天市場」内でのポイントプログラムを本格導入。まずは景品交換や抽選応募としての利用にとどまるが、近く同モール内の商品購入への利用を可能とし、将来的にはインターネット上の“仮想通貨化”も目指している。
 ポイントプログラム「楽天スーパーポイント」は楽天市場内での商品購入(書籍購入と宿泊予約を含む)や共同購入、オークションで付与されるもの。付与率は購入・落札金額の1%(宿泊予約は0.2〜1%)。
 また、子会社のシグニチャージャパン(本社・東京都品川区、森本大社長、URL:http://www.alacard. co.jp/)と協力し、リアルの飲食店で使ったクレジットカードのキャッシュバックが楽天スーパーポイントとして利用できるなど、リアルとバーチャルの連動も視野に入れている。
 2003年には同ポイントを使って商品購入できるような還元方法を導入する方針としており、さらに、三木谷社長はインターネット上の“仮想通貨化”について強い意欲を示す。
 というのは、契約者数約9,000社、流通総額が四半期(2002年7〜9月期)ベースで190億円の仮想モール最大手のポイントプログラムをインターネット上の共通ポイントとすることは、他のECサイトが強い興味を示す可能性が高いからだ。共通ポイントプログラムは既にいくつか存在しているが、楽天がこれに参入すれば「もっとも魅力的なポイント」(三木谷社長)になる可能性は高い。
 仮想モールはこれまで、そのモール内を主戦場とするビジネスと見られてきた。しかし、同ビジネスでの勝ち負けが明確となり、EC関連企業は楽天の集客力やコンテンツに興味を持ち始め、同社との連携を模索し始めた。今後のEC関連企業の動向によっては、楽天の“外”との連携によるビジネスが拡充し、より重要度の高い事業分野にもなり得る。
 

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