2001.6 無料公開記事 ネット販売2001.6
 
“オモシロ”サイト拝見
 
楽譜ネット
http://www.gakufu.ne.jp/


楽譜販売 ネットに合致!
多品種少量の弱みを解消

 「ネット販売に向いている商品」というフレーズをよく耳にするが、楽譜はその中でも1、2を争うほど「ネット販売に向いている商品」の1つなのかもしれない。この楽譜のネット販売の可能性に目をつけたのが、「楽譜ネット」の運営および経営コンサルティング業務などを行うストームの藤田茂社長だ。
 藤田氏は98年11月の立ち上げ以前、付き合いがあったプリマ楽器に「楽譜のネット販売を始めてみては」と話を持ちかけた。それに対して同社はネット販売の将来性が不透明などとの理由から難色を示す。しかし藤田氏は楽譜のネット販売の可能性に確信を持っており、ロジスティックなどのバックヤード面をプリマ楽器が受け持ち、サイト運営をストーム自らが行うといった形でスタートに踏み切った。
 藤田氏が楽譜の可能性に目をつける理由は、楽譜が多品種少量の典型といえる商品だからだ。楽器自体が多品種だし、またソロやオーケストラなどの用途によっても広く分かれる。しかし楽譜は基本的に爆発的に売れる商品ではなく、“売れ筋”も見極めにくい。そうしたこともあり、地方の小売店などでは在庫を持ちづらいのが現状という。だが、確実にニーズはある――。この点に藤田氏は注目した。
 現在、同サイトの取り扱いタイトル数は約70万曲。取り扱い点数は5万冊を超える。特徴的なのは、この中から曲、歌手名検索などができるように、全冊子の掲載曲名などをデータベース化していること。というのは、一曲一曲を扱う「ピース」は単価が安くて扱いづらいこともあり、同サイトでは多数の曲を掲載する厚みのある楽譜集が販売実績の大半を占めるからだ。
 現在の同サイトの顧客数は2万7000人。月間平均受注件数は3000−4000件で平均購入単価は3500円。藤田氏の推定によると楽譜の市場規模は500億円という。同氏は多品種少量の弱みをネットが補完することを予測し、数年後に5−10%をネット販売が占めると見ている。

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