2001.4 無料公開記事 ネット販売2001.4
 
ネット上でも熾烈に
―本番に突入した「アスクルvsカウネット」オフィス用品通販戦争の行方―
<インタビュー> カウネット岡田専務に聞く

 コクヨがSOHO・小規模事業所向けオフィス用品通販の子会社として設立したカウネットが事業化後、快進撃を続けている。顧客数も当初予想を上回る形で伸びている。アスクルの「本命対抗」として登場、さまざまな方面から注目を浴びる同社は今、どのような戦略を立てているのだろうか。岡田清之取締役執行役員専務に話を聞いた。(聞き手は本誌・縄田昌弘)


――上代ベースでの売り上げ目標を当初、200億円としてますね。

(1月から)12月末までの数字という意味です。また当社の売上高で75億円という目標数字を出していますが、これは(カウネットの決算期となる)9月末のものです。

――9月末ベースの上代ベースの売上高はどの程度ですか。

100億円前後でしょうか。

――ということは、その後の3カ月であと100億円を売る、と。

そうです。当社の2年度目の売上高目標が450億円になっていますので、それに対応する数字を作っていこうということです。この段階で上代ベースの売上高は600億円強だと思います。

――200億円の段階で顧客が50万件ということですか。

そうですね。ある意味ではアスクルさんの1999年ごろの規模ということでしょうね。そこを1年間でやりたいということなんですね。

――4,000社もあるとエージェントが密集するエリアもあるのでは。

東京都内という意味ではおよそ1,000社程度ありますね。4,000という数字のパワーはいろいろな意味で、一言で言ってすさまじいと思います。

――通販を手掛けてみたいところが多かったということでしょうか。

そうだと思います。今回、募集説明会に際して5,000人の方にアンケートを行ったのですが、コクヨがカウネットという事業を興すことに対して「とんでもない」という回答はほとんどありませんでした。9割以上の人が「仕方がないと思う」「理解できる」という回答でした。こういう時代になったのだということを文具店さん自体が認識されているということだと思います。


市場の2〜3割は通販に移行


――ただ、通販の市場に占めるシェアは小さいですよね。数パーセント程度だと思います。

通販の市場は確実に大きくなると思います。30人以下の小規模事業所で2兆3,000億円ぐらいは消費されていますから、そのうちの2〜3割は通販になるのではないでしょうか。米国ではすでに2割を超えています。2割としても4,600億円の市場になるわけですし、3割であれば7,000億円程度になります。当社としても数年後に1,000億円は優にいきたいですね。ともあれ今年の200億円が試金石になると思いますし、これを達成すれば次の「絵」が描けると思っています。200億円いけば一気にブレイクする可能性はありますね。

――現時点でのカウネットとしての損益分岐点は。

現状で行くと次年度の450億円くらいでしょうね。450億円を超していけばまぁまぁです。ただ、まぁ、非常に資金はかかっています。今回、コクヨのシステムやリソースは一切使っていないんです。物流やコンピューターシステムも含めて一切、自前で組み立てました。そうしないと、自分たちのノウハウを作り上げることができないと判断したからです。

――受注の比率はどうですか。

ネットが徐々に増えつつありまして、全体の13〜14%の範囲です。ですが、全体の平均で2割ぐらいにいくようにはしたいですね。

――アスクルではネット受注について割引がありますが。

ウチではやっていません。今のところは検討していなくもないのですが、もう少し(ネットに)誘導することも考えてはいきたいと思います。それが価格なのか何なのかは、今のところは見えていません。

UP