2001.1 無料公開記事 ネット販売2001.1
 
千趣会、来年度のネット販売売上高は最大150億円へ


 千趣会(本社・大阪市北区、行待裕弘社長)のネット販売事業が、ここにきて急伸している。2000年10月には単月ベースで過去最高の売上高を記録した。アクセス数も急上昇している。会員化(会員登録)も順調に進んでいるが、同時に既会員のアクセスや商品注文が活発化している。同社では現在、来年度の計画を検討しているが、売上目標について、最高で150億円を視野に入れている。
 10月と11月のアクセス数は月間約600万ページビューを記録した。9月が約500万ページビューだったため、伸び率はおよそ20%で、約100万ページビューだけ純増している。デジタルメディア開発部の星野裕幸課長はこの状況に、ある程度予想していたとはいえ、意を強くしている。
 アクセス数は今年5〜6月の時点で、月間およそ200万ページビュー台だった。これが7〜8月になって300万ページビュー台で推移、サイトをリニューアルした9月の段階では500万ページビューへと一気に跳ね上がった格好だ。10、11月の600万ページビューは、5〜6月に比べおよそ3倍、7〜8月に対し2倍になっている。
 同社は2000年4月にネット販売のシステム自体をリプレース(置き換え)した。ある程度の容量を想定したシステムのため、アクセスが殺到して不具合が生じる、といった場面には遭遇していない。とはいえ、現在でも、回線容量を上げるなどシステム回りの細かい点で強化作業を行っている。「どこまでやっても追い付かないような感じ」だと、星野氏は話す。うれしい悲鳴ともいえるが、トラブルがあれば販売機会の喪失、というだけではなく、顧客の信頼を損なう可能性もあり、対応は真剣そのものだ。


急拡大を支えるリピーター

 これにつれ、売り上げの方も急激に伸びている。10月の月商はおよそ7億5,000万円と、単月ベースのネット販売の過去最高売上高を記録した。受注件数は約5万件だった。9月の売り上げは約6億円だったため、約25%のアップということになる。今年度(9カ月の変則決算)の売上目標は30億円だが、通期ベースで40億円を突破することは確実だ。
 むろん、ネット販売の登録会員数も伸びている。11月下旬現在で月々の新規会員増加数は2〜3万人。今年度(12月期末)終了時点で30万人の会員数を目標にしていたが、11月中にはこれをクリアしている。こうした「新規登録顧客」の貢献度は大きいだろう。
 同時に、すでに登録されている会員のリピート需要が売り上げの伸びを支えている。星野氏によれば、登録会員の1人当たりの注文金額は、ここ半年で10%以上伸びている。
 社内での指標として用いているRFM(リーセンシー=購買時期、フリークエンシー=購買頻度、マネタリー=購入金額の3要素を基に行うデータ解析のこと)分析の結果を見ても、それぞれの3要素ともに目立って伸びており、社内でも話題になったという。いかに登録顧客のアクティブ度が高いかが分かるだろう。

コンテンツをいかに充実させるか

 こうしたサイトの活性化の影には、同社がコンテンツ(情報の中身)の充実に力を入れていることがある。例えば、目玉の1つとして集客に貢献しているネットオークション(競売)。これを目当てにサイトを訪れ、そのまま商品購入に結び付く顧客も多い。このため、顧客の期待感をなるべくそがないよう、品ぞろえにも力を入れている。「これまで掲載した商品はすべて落札している」と星野氏は話す。
 中でも反応が高いのはファッション雑貨などのブランド製品。財布類などは、バッグなどに比べると値が張らない、といったこともあり、人気カテゴリーだ。ここでのアイテムの人気度はまた、ネット販売全体の品ぞろえの参考にもしている。オークションは集客だけでなく、マーチャンダイジングにも役立っているというわけだ。
 千趣会では来年度、今期に培ったノウハウやインフラを生かし、積極攻勢に出る。12カ月の通期ベースで100億円の売り上げは確実に見えてきている。これにどれだけ上積みできるかが腕の見せどころとなる。最終的な目標数値は現在、検討しているところだが、130〜150億円のレンジで設定する可能性が高い。

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